<アジアシリーズ:巨人6-3ラミゴ(台湾)>◇11日◇決勝◇韓国・釜山

 巨人が史上初の5冠を達成した。台湾代表のラミゴを下し、アジアシリーズ初優勝を果たした。巨人は交流戦からペナント、CS、日本シリーズを制し、さらにアジアチャンピオンと、1つも取りこぼすことなく勝ち続けた。原辰徳監督は堂々と優勝トロフィーを掲げた。勝利投手は6回1失点の宮国椋丞投手(20)。大会MVPには3試合全てで打点を挙げた坂本勇人内野手(23)が選ばれた。

 今年最後のグータッチは、伏兵・実松だった。2回2死二塁。先制2点タイムリーの石井を塁に置き、打席は9番実松。3ボール1ストライクから、直球だけを待って振り抜いた。打った瞬間に分かる左翼への本塁打。原監督は笑顔のグータッチで出迎えた。2回に4点を奪い、主導権を完全に握った。危なげない勝利で初優勝。シーズンから5つ目の冠を手にした。トロフィーを掲げ、原監督は言った。

 「最後にアジアチャンピオンという称号もいただくことも出来まして、この上ない、この上ない2012年でした。この大会は先発投手3人、野手も、安定した力を出してくれ、安定した戦いができました。日ごろのジャイアンツというチームを、遺憾なく発揮できました。結果としてはこの上ないアジアチャンピオン。大変満足しています」

 伏兵が働くのが今年の巨人だ。実松の本塁打、石井の先制打。今年の巨人を象徴したラストゲームだった。石井は2回無死二、三塁から右翼フェンス直撃の2点適時二塁打を放ち「1打席1打席、集中していこうと思っていた。やることは自分の仕事」。6番一塁スタメン起用に見事に応えた。実松は「出ましたね。終わりよければすべて良しです。いい1年でした」と、充実した顔で言った。

 「シーズン中と変わらない戦い方をしよう」。原監督の要求に、ナインは忠実に応えた。6回1死、追加点を奪う適時打を放った矢野の談話は的確だった。「CSでもそうでしたけど、どんな状況でも、みんなが平常心でプレーできていた。チーム力があったと思います」。

 くしくもこの日は11月11日。前GMの清武氏の緊急会見からちょうど1年がたつ。騒動の発端と同日に5冠達成。紆余(うよ)曲折の末、原巨人は、誰も立つことのなかった頂にたどり着いた。【金子航】

 ◆巨人の5冠

 交流戦、公式戦、CS、日本シリーズ、アジアシリーズで優勝した。CSが始まった07年以降、この5部門をすべて制したのは初めて。