中日高木守道監督(71)が16日、岩瀬仁紀投手(38)に究極の起用法を宣告した。開幕から守護神を任せる。でもダメなら2軍。それでも復活できなければ引退というものだ。今季は2年ぶりのセーブ王を取ったが、14年目で初の不振降格も経験。来季のポジションは、輝くか散るかしかないとの猛烈ゲキだ。

 「岩瀬は一番後ろでしか投げさせんよ。(岩瀬が)球団にもそう言うとる。プライドもあるでしょ。今年みたいな途中からはない」

 監督はまず、来季の守護神を岩瀬に任せる構想を初めて明かした。今季は山井らも抑えで奮闘したが、開幕抑えは岩瀬でいく。さらに、今季は不調で中継ぎにも回ったが、それはさせないことも明言した。守護神一本勝負は岩瀬の希望でもあり、10月31日に行われた球団との“引き際面談”でも直訴したという。監督はその心意気を買った。だが守護神のイスには時限装置も付けた。

 「それでいいし、そのつもりで本人も頑張るでしょ。ダメなら良くなるまで(2軍で)調整するしかない。でもいつまでも投げられるわけやない。結果が出んなら、やめないかんでしょ。そんな風になれば(自分から)やめるんやないの」

 今季推定年俸は日本人最高の4億5000万円。346セーブは日本記録で、球界の横綱的存在だ。だが横綱の進退に休場(2軍落ち)はあっても、大関陥落(中継ぎ)はない。衰えれば引退しかない。監督は引き際の決断を迫りながら、岩瀬本人もそれを覚悟しているはず、とうなずいた。

 「年齢は関係ない。投げる本人が一番分かる。いけると思った球が打たれりゃアカンということですよ」

 もちろんすべてが期待の裏返し。岩瀬の復活でV奪回が近づくのは間違いない。これぞ守道流のカンフル剤。あとは岩瀬が結果で応えるだけだ。【松井清員】