高級腕時計は後継者の証だ!

 ソフトバンクの選手会納会が28日、熊本県内の温泉地で行われた。今季限りで現役を引退した小久保裕紀氏(41)が、今季自ら制定した「キャプテン賞」に柳田悠岐外野手(24)を選出。数十万円する腕時計を贈った。

 2年目の柳田は今季6月下旬から1軍に定着し、68試合に出場した。打率2割4分6厘ながら、満塁弾、サヨナラ弾を含む5本塁打をマーク。フルスイングから豪快なアーチを描く姿こそ、歴代16位413本塁打を放った小久保の求めるものだった。

 「理由は、オレがホームランで生きてきたから。託せるヤツはあいつしかいない。選考はレギュラーを取っていないヤツという条件。消去法や。まだ3桁(100万円)の時計は早い」と後継者に認めた。シーズン中から柳田には、王球団会長から教わった「打撃練習から背骨がバキバキ鳴るくらい思い切り振れ」とのアドバイスを伝えていた。

 小久保魂の宿った高級腕時計、完全に柳田のものになったわけではない。手渡す際に小久保氏は「最初で最後のキャプテン賞。本塁打20本以上打てなかったら返してもらうぞ」と没収の厳しいノルマを課した。柳田は「来季の目標はレギュラー獲得。それだけです。取れば結果もついてくる」と気持ちを新たにした。

 宮崎秋季キャンプではとにかく振り込み得意ゾーンを増やしてきた。来季は20本とは言わず30本塁打で、小久保氏に3桁の時計をおねだりする。【石橋隆雄】