いじられキャラやない!

 阪神新井貴浩内野手(35)が13日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約交渉し、現状維持の年俸2億5000万円プラス出来高でサインした。来季が3年契約の2年目。引退した金本知憲氏につけられた?

 いじられキャラとの決別を宣言。イメージだけでなく、負傷した右肩を治して4番奪回を目指す意気込みは真剣だ。

 ついにこのときが来た!?

 阪神新井は笑いがこみ上げるような表情で、冗舌に話し始めた。阪神ファンにはすっかりお馴染みになってしまった「いじられキャラ」の卒業、いや完全否定だ。引退した金本氏から植え付けられた、本意ではない?

 役回り。ようやく、本来の自分を出せるチャンスが巡ってきた。

 「まずはね、自分はいじられキャラじゃないからね。もともと。誰とは言わないけど、偉大な先輩からつけていただいた架空のイメージをね、払拭(ふっしょく)したいね」

 契約更改の会見でどーんとぶちまけ、くぎを刺した。アニキとして慕っていた金本氏には広島時代からことあるごとにいじられた。時に金本氏をいじり返すパターンの掛け合いも演じ、日刊スポーツ評論家清原和博氏など球界内にも熱烈なファンがいたほど名物になった。アニキがユニホームを脱げば、作られたキャラも今季限り?

 替え難い開放感に浸った。

 と、ほとんど冗談で話していた新井が一転、真剣になった。来季は新キャラクターだけでなく実力でもチームを引っ張る覚悟でいる。金本だけでなく、城島に藤川と主力選手が相次いでチームを離れた。のしかかる期待の大きさは分かっている。契約交渉でも高野球団本部長からげきを飛ばされた。

 「新しいチームメートも加わる。年齢的にも経験的にも自分が引っ張っていかないといけないと言ったし、言われた」

 今季、慢性的な違和感のあった右肩を万全の状態に戻し、4番奪回を目指す。122試合出場で打率2割5分、9本塁打。弟良太に4番を明け渡し、順位決定後の9月24日には2軍に降格した悪夢は繰り返さない。来季の復活にかける意気込みは強い。

 「もっと練習しないといけないし、できるような状態にもっていかないと。自分が1年4番を打つに越したことはないと、そう思っています。肩を治して新しい自分をみせたい」

 右肩が完治すればやれる自信はある。初心に戻り、バットを振らない日がなかったほど猛練習に明け暮れた広島時代のイメージで練習を重ねる。キャラは変わった。中身も変わる。新しい新井が、新しい阪神を引っ張っていく。【池本泰尚】