【グアム16日=高山通史】WBC日本代表の守護神候補、中日浅尾拓也投手(28)が山本浩二監督(66)から高級梅干しの手みやげ付きで、フル回転をお願いされた。グアム滞在中の山本監督を浅尾があいさつ訪問。疲労回復効果によいとされる梅干しに感激した守護神候補は“白星”での恩返しを誓った。

 山本監督がグアムにいると聞き、浅尾があいさつにやってきた。同地で自主トレしているWBC日本代表候補、巨人阿部らを視察中の指揮官に「よろしくお願いします」と伝えるためだ。すると、律義に直立不動で待っていた浅尾に監督も感動。激励の言葉とともに、日本から持参したきり箱入りのお土産を手渡した。

 浅尾は「梅干しでした」と笑顔で明かした。だが、単なる梅干しじゃない。創業1834年(天保5)、和歌山の老舗「五代庵」の高級梅干しだ。疲労回復によいとされ、WBCの守護神が有力な右腕のフル回転を願っての縁起物だった。実は山本監督はグアムで自主トレ中の浅尾を17日に訪問しようと考え、日本をたつ前から浅尾用の梅干しを準備。だが逆に浅尾からあいさつに訪れたことで、1日前倒しのエールが実現した。

 この梅干しは数々のアスリートも好み、イタリアセリエAの名門インテルミラノで活躍中の長友佑都(26)のスタミナ源とも言われる。11年3月のブログで食べていることをアップしたところ、話題がイタリアを駆けめぐり「活躍の秘密」と評判になった代物だ。監督の熱いメッセージに浅尾も感激を隠せなかった。

 浅尾

 昨年(故障もあり)結果を出していないので、山本さんのイメージと違うかもしれない。イメージ以上のアピールをしたい。キャンプに入っていけると思ったら、打撃投手をして感覚をつかんでいきたい。

 誓いは新たになった。グアムでは遠投と走り込みなど肉体づくりに重点を置いて調整中。今月下旬の帰国後にブルペン入りする計画で、WBCに備えて例年より早めに仕上げていく。実戦勘も養って準備万端にし、2月15日スタートの宮崎合宿に乗り込むつもりだ。

 山本監督は「役割は言わなくても分かっとる。抑えの経験もあるんやからね」と、勝利の方程式の一角として計算。浅尾も献身的な思いで、応える覚悟を決めている。「まず選ばれること。選ばれたら、どこでも投げる。(役目は)0点に抑えて帰ってくることだけです」。山本監督に“酸っぱい”思いはさせない。フル回転宣言の浅尾が、世界の頂点に、梅干しを、いや日の丸を掲げにいく。

 ◆五代庵

 1834年(天保5)創業の老舗梅干し販売店「東農園」の屋号。山本監督が差し入れた「夢想」は贈答用の最高級品。紀州五代梅の心と紀州五代の夢の2種類を詰め合わせた計16粒で何と5250円(税込み)!

 1粒あたり約328円というシロモノ。同社によると「通常の梅干しより味のバランスが良く、食べやすいため塩分やクエン酸の補給がしやすい」とのこと。クエン酸は食欲増進、疲労回復に効果があるとされている。