日本ハムが、今季2年契約の最終年を迎える栗山英樹監督(51)と、来年1年間の契約延長ですでに合意していることが22日、明らかになった。今月中にも正式にサインする。シーズン開幕前という異例の時期での契約更新となるが、球団はチーム成績だけにとらわれず、同監督の手腕を高く評価。ドラフト1位大谷翔平投手(18=花巻東)の二刀流での育成も見据え、中長期的なチームづくりを進めていくことになる。

 パ・リーグ連覇を狙う栗山体制の土台が、どっしりと固まった。2年契約最終年に臨む栗山監督の、来季1年間の契約延長が早々と決まった。正式契約は交わしていないが、水面下では双方ですでに合意しており、今月中にサインする見込みだ。

 大谷育成も見据えた続投だ。今季は埼玉・川越東高の野球部監督だった阿井ヘッドコーチをはじめ、黒木投手コーチ、大塚外野守備走塁コーチら新任の首脳陣が多い。また、ドラフト1位・大谷には「エース兼4番」の二刀流での成功を目指し、長い目で見た育成プランが組まれている。少なくとも今後2年間は現体制が続くことで、「二刀流養成バックアップ体制」が敷かれ、チームをブレることなく強化していくことが可能になる。

 キャンプインを目前に控えたこの時期に契約を更新するのは、プロ野球界では異例中の異例。通常はシーズン中の戦いぶりを検討材料にして、翌年以降の契約について判断するのが一般的だ。しかし、就任1年目をリーグ制覇という最高の結果で終えた同監督は、チーム成績もさることながら、斎藤の開幕投手起用や伸び悩んでいた吉川の成長を促した功績、また若手の積極起用やベテラン選手への気配りなど、指揮官としての手腕も球団内で高く評価されている。

 さらに、球団が掲げる「最後まであきらめない」という姿勢、スカウティングと育成を骨子にしたチームづくり、ファンサービスにも理解が深い。大社オーナー代行は「結果うんぬんではなく、こちら(球団フロント)がやってほしい仕事をきっちりとやってくれている。(契約延長は)ヒルマン監督や梨田監督のときは8月ごろだったと思うが、早くてもいいと思っている」と話していた。

 契約途中の身でありながら、昨季は日本シリーズで巨人に敗れた後、1度は辞表を提出した栗山監督。契約延長に安堵(あんど)することなく、今季も連覇を目指し、全力でタクトを振る。

 ◆12年栗山監督の功績

 就任1年目でリーグ優勝した監督は08年渡辺監督(西武)以来17人目で、球団史上初。90年の現役引退後にコーチを経験せず、ユニホームから20年以上離れていきなり優勝した監督は初めてのケースだった。同一リーグ3球団(2位西武、3位ソフトバンク、4位楽天)に負け越しての優勝は史上初。パの優勝チームでは66年野村(南海)以来となる全試合4番で起用された中田は、リーグ最多の殊勲安打30本、勝利打点17度で期待に応えた。投手陣も前年18勝のダルビッシュが抜け、同14勝のケッペルを故障で欠いたが、吉川を柱にプロ野球新のチーム131ホールドを挙げた強力救援陣でカバーした。