今年から兼任コーチを務める日本ハム稲葉篤紀内野手(40)が1日、キャンプイン早々、栗山英樹監督(51)からスーパールーキー大谷翔平投手(18)の専属コーチに指名された。全体練習前に、沖縄県名護市の名護球場で集合写真を撮影した直後、栗山監督から方針を伝えられて快諾。第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表候補が、将来性豊かな18歳に打撃の極意を授ける。

 将来の侍育成へ、現役侍の日本ハム稲葉が“専属コーチ”に指名された。この日、沖縄県名護市で兼任コーチとして初の春季キャンプを迎えたベテランは、1軍の集合写真を撮影後、近寄ってきた栗山監督から、重大な任務を伝えられた。

 稲葉

 大谷君の打撃次第では(1軍キャンプ合流が)少し早くなるかもしれないので、そうなった場合、打撃を見てやってくれということでした。僕もちゃんと見たことがないから、1度、しっかり見てみたいと思っていた。

 2軍キャンプでスタートを切ったドラフト1位ルーキー大谷は、入団前から憧れの打者に稲葉の名前を挙げていた。栗山監督もそのことを承知で、昨年2000安打を達成し名球会入りを果たした百戦錬磨のベテラン打者に、将来性豊かな18歳の育成をお願いしたようだ。

 稲葉は第3回WBCの代表候補でもあり、15日からは宮崎で日本代表の強化合宿に臨む。WBC本番を見据えて「時間がないから、詰め込んでいかないと」とハイペース調整を続けており、春季キャンプ初日から、全体練習後の特守に飛び入り参加。一塁で40分、ノックを受けた後には居残りでティー打撃を敢行し、選手宿舎へ引き揚げる頃には日も沈みかけていた。

 稲葉

 優勝を意識してやらないと足もとをすくわれるし、緊張感を持ってやらないとね。

 意識する「優勝」とは、WBC3連覇であり、チームのリーグ2連覇。そんなベテランの姿に、栗山監督も「危機感を持って臨まないといけないシーズンだということを、一番分かっている。身をもって表現してくれて、感謝している」と最敬礼。08年北京五輪、09年第2回WBCと、世界を相手に戦った打撃技術を、スーパールーキーに惜しみなく伝授する準備はできている。【中島宙恵】