ヤクルト赤川克紀投手(22)が“左右両刀”の使い手を目指す。4日、沖縄・浦添での練習後、右手でサインする姿があった。左投げ左打ちで、利き腕は左のはず。そのわけは「今年はなるべく左手を使わないように、と思っているんです。トレーニングにもってこいですよ」。荷物に箸、ペンや携帯電話など、左手を使っていた行動をできる限り右手ですると決めた。

 明確な狙いがある。昨季は自己最多の8勝を挙げたが、疲労が影響して後半戦に失速した反省がある。「1年間通じて投げられるようにしたい」。左腕は極力休ませて投球だけに力を注ぐ。加えて右手を使いこなすことで「疲れてくると体の左右のバランスが崩れて突っ込む」との課題克服にもつなげるつもりだ。

 荒木投手コーチは「バランスを整えるには良いと聞くし、そういう意欲を持つことはすごくいい」と赤川の試みに賛同。ブルペンでの103球を見つめると「バランスを意識して投げられている。良い感じだね」と納得の表情を深めた。

 11日の紅白戦には「投げるつもりで準備したい」と意欲十分だ。「開幕投手をやるって気持ちじゃないとヤクルトのローテーションには入り込めない。自分もいるってアピールしたい。生活からも野球を意識しないと」。ヤクルトの「ジャイアン」は、どこまでも野球に貪欲だ。【浜本卓也】