DeNA中畑清監督(59)が、球界改革に動いた。練習休日の12日、いつものジョークや笑顔を封印して熱く語った。「昨日、コミッショナーに意見を言わせてもらったよ」。前日11日、NPB加藤良三コミッショナー(71)がキャンプ視察に訪れた際、約15分間にわたり話し合ったという。話題はドラフト制度。中畑監督は完全ウエーバー制への移行を主張したという。

 「弱いチームから指名権を得て、(希望選手を)一本釣りしないと12球団均等の戦力はあり得ない。それがドラフトの本来あるべき姿じゃないですか、という話をさせていただきました」。加藤コミッショナーは「メジャーはそうですね」などと答えたという。もちろん、5年連続最下位の自軍を有利にしたいというケチな考えではない。「野球が活性化されれば、日本も元気になる。野球界は常に主役でいてほしいからね」という思いが根底にある。

 中畑監督は、現役時代も労組日本プロ野球選手会の初代会長を務め、球界全体の発展を視野に行動してきた。「オレは選手会をやってきたからうるさいのよ」。ドラフト以外にもアマチュアから直接メジャー入りを目指す際の規定があいまいなこと、球団ごとに容認基準が違うポスティングシステムにも異論を持つ。「ルールがないから、どっちが悪いっていう話が出る。ファンが何で決まりがないの?

 と聞きたくなるものが多すぎる。これが野球離れにつながってしまう」。

 結果が求められる監督2年目。「そんなこと言ってる場合じゃないって言われるかもしれないけど、野球はずっと続いていくわけだから。おかしいなと思うことを言っていくのは現場の責任だよ」。その目はいつもとは違う熱さに満ちていた。【佐竹実】

 ◆中畑監督物申すメモ

 現役時代の1985年11月に労働組合としての認可を受けた日本プロ野球選手会の初代会長に就任。労組となったことで、ストライキ権を取得し、選手の待遇改善に尽力した。また現役引退後も、第三者が構成する調停委員会の設置やフリーエージェント制導入の議論が起こった際も、選手会支援の声を上げ、バックアップを続けてきた。