江夏を仰天させた!

 阪神ドラフト1位の藤浪晋太郎投手(18=大阪桐蔭)が19日、沖縄・宜野座キャンプでフリー打撃に初登板。7分間、32球で森田とドラフト4位の小豆畑を安打性2本に抑え、同じ高卒ドラフト1位で阪神入りした通算206勝左腕の江夏豊氏(64)を驚かせた。3月3日の練習試合・西武戦(春野)での実戦デビュープランも浮上した。

 第1球はシュート回転で荒々しく、外へ大きく外れた。1200人の観衆や多くの首脳陣や並み居る関係者が固唾(かたず)をのんだが、藤浪は全く動じない。2球目、3球目とボールながら少しずつストライクゾーンへ近づけた。4球目がようやく枠に入ると、球威が勝り、森田はファウルするのがやっとだった。

 森田には1本、高め直球を中越え本塁打されたが、前に飛ばされたのはわずか4球。安打性はわずか2本。続く小豆畑へは初球の内角球でバットをボキリ。自身初の「バット折り」で優位に立ち、安打性0本に封じ込んだ。計32球を投じ、カットボール3球以外は全て直球。慣れない防球ネットを置いての投球とあり、ボール球が12球と制球に苦しんだが、桁外れの球威を存分に見せつけた。

 グラウンドレベルで見守った江夏豊氏が、驚きの声を上げた。藤浪と同様に高卒で阪神入り。66年1次ドラフト1位で入団し、1年目から12勝、通算206勝を挙げた左腕だ。「正直言ってね、想像以上に良かった。開幕から使った方がいい。オールスターくらいからと思っていたけど、十分これで新人王候補だね」と賛辞を並べた。さらに「どっかのチームじゃ二刀流なんて言ってるけど、一刀流で十分」とニヤリ。投手と野手の二刀流に挑戦中の日本ハム大谷を引き合いに出し、藤浪の非凡さを絶賛した。

 初めて打者との対戦で上々の投球を見せた藤浪は「久しぶりだったので、あまりよくなかった」と冷静。「よくないのはわかっていたけど、その中で、体が開くとか、課題も見つかりました」と話した。

 今後はまず、24日までの沖縄滞在中にシート打撃に近い形式で投げる予定。実戦デビューは3月の見込みだったが、中西投手コーチはこの日「セ・リーグ相手はちょっと難しいな。甲子園も、何度も投げているしな」と話した。調整が順調に進めば、3月3日の練習試合・西武戦(春野)での「ひな祭りデビュー」プランが浮上。いよいよ、黄金右腕がベールを脱ぐ日が近づいてきた。【山本大地】