<ロッテ5-4オリックス>◇30日◇QVCマリン

 ロッテが2日連続の延長12回サヨナラ勝利を決めた。同点の12回、1死満塁から、5番福浦和也内野手(37)が左犠飛で決めた。ロッテの開幕2戦連続サヨナラ勝ちは44年ぶり。ベンチ入り25人中、野手全員を含む24人を出す総力戦で、前日を1分上回る4時間44分の激闘を制した。勢いに乗り、ホーム開幕3連勝を狙う。

 まるで開幕戦のリプレーだった。同点で迎えた延長12回。敵失と犠打、四死球で1死満塁とすると、福浦が外角高め137キロの直球を流し打ち。左犠飛で三塁走者の根元が生還した瞬間、歓喜の輪が広がった。

 2日連続の12回サヨナラ勝ち。1死満塁での犠飛決着まで同じ。2戦で9時間27分を費やした死闘にも、伊東勤監督(50)は「現状としては最高の勝ち方だね。もっと勝ちたいという欲が出る。苦しんで勝つのは大歓迎」とにやり。疲れも吹き飛ぶほどのミラクルだった。

 新監督を迎え、「あきらめない」集団に生まれ変わった。ロッテ一筋20年目の福浦は「なんとか追いついて逆転しよう。そういう粘り強さが今年はありますね」と実感する。選手同士が大きな声で鼓舞し合う。伊東監督が率先して、そういう空気をつくっている。

 指揮官は8回無死一、二塁で「思いきって行け」と福浦を送り出した。結果は左飛。だが12回の場面でもまったく同じ言葉をかけた。凡退でも明るく切り替える。攻守交代で守備に就く時は今年から、高校野球のような全力疾走になった。嫌な空気は引きずらない。

 そんな雰囲気が、新戦力にも力を発揮させた。移籍後初マスクの川本は11回に盗塁を刺し、G・G・佐藤は「ベンチがびっくりするくらい1つになれている」と1軍初打席で安打。ヤクルトで3番手捕手だった川本と、11年に西武を戦力外通告されたG・G・佐藤。両方を見事に“再生”させた。

 試合終了直後は、全員でアントニオ猪木の「1、2、3、ダァーッ」をして心を1つにしたロッテナイン。大きな補強はせず、下馬評も低い。それでも「気にしないよ。オレが評論家でも5位か6位にするもん」と指揮官は笑い飛ばす。見返すだけのチームワークが今年はある。【鎌田良美】

 ▼ロッテが開幕戦に続いてサヨナラ勝ち。開幕戦から2試合連続サヨナラ勝ちは08年ソフトバンク以来でプロ野球8度目。ロッテでは木樽のサヨナラ本塁打、井石のサヨナラ安打で連続サヨナラ勝ちした69年以来、44年ぶり2度目になる。ロッテは2試合とも延長12回に犠飛で決着。2試合とも延長だったのは62年東映(11回→10回)90年巨人(14回→12回)に次いで3度目。開幕から2試合連続延長サヨナラ勝ちした62年東映と90年巨人はそのまま勢いに乗って優勝したが、ロッテはどうか。