右足首を捻挫して出場選手登録を抹消された日本ハムのルーキー大谷翔平投手(18)が、熱いメッセージに奮い立った。同じ高卒新人の阪神藤浪晋太郎投手(19)から激励されたことを15日、明かした。一足先にプロ初勝利を挙げた盟友とメールでエール交換し、再起へ発奮材料を得た。この日は、都内の病院で再検査を受け、前回同様に軽度の「内反捻挫」と診断された。野手では最短で2週間での1軍復帰を目指し、今日16日から千葉・鎌ケ谷でリハビリをスタートする。

 大谷の沈んだ気持ちは、盟友が吹き飛ばしてくれた。1軍から離れ、2軍施設のある千葉・鎌ケ谷へ戻った14日。高校時代からのライバル、藤浪がプロ初勝利を挙げた。テレビのニュースで知った。はにかみながら、祝福メールを送ったことを打ち明けた。

 大谷

 初勝利、おめでとう。僕は捻挫して落ちちゃったよ。

 プロ初の2軍落ちを経験した日に、藤浪は表舞台で最高に輝いていた。高校時代と同じだった。投げ負けた昨春のセンバツ、出場できなかった昨夏の甲子園。野手としてはプロで先に結果を残したが、投手としては、また先を越された。大谷は同様のメールが殺到すると察し、文面の最後に「返信はいらないよ」と付け加えたが、思わぬ返信メッセージに心打たれた。大谷によれば「『ありがとう。早く治して上に戻ってこられれば』というような感じでした」。

 再起にかける思いは、一層深まった。「僕も、しっかりやりたい。負けないようにしたいです」。失意から救われた。高校日本代表では、ともに日の丸を背負って戦った。注目を浴びながら、プロ生活をスタートさせたのも同じ。何かと比較される高卒新人同士。メールでのやりとりで、活力を取り戻した。

 この日、都内の病院で再検査を受けた診断結果は、前回と同じだった。軽度の「内反捻挫」。野手としては2軍戦で実戦復帰し、最短で2週間での1軍復帰を目指すことになる。投手としては、約3週間で2軍で実戦登板をすることができそう。当初の予定通り、1軍での先発デビューへ向けて仕切りなおす。

 今日16日にリハビリを開始する。「ここまで順調にきていたけど、かけ足できすぎたかな」と、素直な思いを吐露した。患部の痛みが引くまで、ランニングは禁止。2~3日は安静にして経過を観察し、慎重に二刀流プランを再始動させる。5月25、26日は甲子園で交流戦の阪神戦がある。順調に回復すれば、十分間に合う。藤浪と対戦の可能性がある同カードまでの戦列復帰を「できたらいいな」と願う。大谷が再出発に、最高の発奮材料を手にした。【木下大輔】