<DeNA4-1中日>◇19日◇横浜

 ジンクスを最高の形で打ち破った。DeNAトニ・ブランコ内野手(32)が、1-1の延長10回、劇的なサヨナラ3ランを放った。リーグトップを独走する今季8発目が、初めて勝利につながった。前日18日の敵地広島戦では9回に3点リードを守りきれず逆転サヨナラ負けしたが、その翌日に今季初のサヨナラ勝ち。頼れる助っ人の活躍で、中日と入れ替わって4位に浮上した。

 ブランコの大きな背中に手を回した中畑監督は、まるで恋人を語るようだった。「ずーっと抱きしめていたかった。本当にいいやつが来てくれたねー。昨日の嫌な流れを吹き飛ばしてくれた。もっと好きになりそう。いいヤツだねえー」。試合後の会見では、つい、お姉系の言葉になってしまうほどの“おのろけ”ぶり。万年最下位チームを救う助っ人に、あらためて感謝せずにはいられなかった。

 開幕18試合で8本塁打、22打点の2部門でリーグトップ、打率は3割4分8厘。4番として申し分ない成績だが、前日までブランコが1発を放った試合は5戦全敗だった。本人も「僕も人間だから、残念な気持ち」とモヤモヤを抱えていた。ジンクスを打ち破る絶対に負けない方法が、サヨナラ本塁打だった。延長10回の3ランで試合を決め「過去は過去。横浜にきて、こういう仕事ができてうれしい」と本拠地で上がった初のお立ち台で胸を張った。

 守護神も立ち直った。逆転サヨナラ負けした前夜、9回に4失点した山口が連投で登板。同点の延長10回を3者凡退に抑え「昨日は3点差があって、どこかにスキがあった。悔しくて、眠れなかった。今日こういうチャンスで投げさせてもらって、どんな場面でも気持ちを入れていこうと思った」。気迫あふれる投球でサヨナラ勝ちの流れを呼び込み、白星がついた。

 負ければ、最下位の可能性もあった一戦。昨年までなら、ズルズル連敗してもおかしくない展開で踏みとどまった。サヨナラの悔しさを、サヨナラで晴らした中畑監督は「うちの勝ちパターンが崩れるのが怖かった。悪い思いをしていた選手が結果を出して、理想の勝ち方。これで勢いに乗っていける」と1勝以上の価値を強調した。【柴田猛夫】