巨人が今秋ドラフト上位候補選手の日本生命・小林誠司捕手(23=同大)に熱視線を送った。22日、川崎市のジャイアンツ球場で2軍対日本生命のプロアマ交流戦が行われ、原沢球団代表兼GMやスカウト陣が異例の大集結。注目を集める中で社会人屈指の捕手は強肩を披露し、好リードで8-3の「金星」に導いた。阿部の後継者探しは重要な補強ポイントで、今後も動向を追い続ける。

 小林のすべての動きが巨人フロント陣にチェックされた。1回2死一塁の守備。初球にいきなり、隠善に盗塁を仕掛けられた。同大時代に二塁への送球タイム1秒9を誇った強肩の見せ場。「コントロールに気をつけて力まないように投げた」という送球は少し高くなり、セーフになった。それでも「投手のクイックが甘かった。肩は良かった」と言う隠善の印象が一級品であることを物語っていた。

 異例の大集結だった。原沢球団代表兼GMが視察に訪れ、山下スカウト部長をはじめとするスカウト陣も大挙した。その中で小林は3投手を巧みにリード。5安打3失点にまとめてプロ相手の勝利に導いた。初回も含めて3盗塁を許し、強肩としての結果は残らなかったが、内容は上々。課題である打撃も2打数1安打で成長の跡を刻んだ。「いい経験になった。プロに行きたいです」と甘いマスクで笑った。

 巨人は34歳阿部の後継者探しが急務。今秋ドラフトでは大阪桐蔭・森友哉捕手を、超高校級左腕の桐光学園(神奈川)・松井裕樹投手(ともに3年)とともに1位候補にリストアップ。社会人の捕手では小林も高い位置付けにある。山下同部長は「今年は(ドラフト候補の)捕手は多いけど、その中でも十分、候補に入ってくる」と評価した。

 強豪の日本生命は注目選手ぞろい。1番打者の小田裕也外野手が初回、初球を先頭打者弾と評価を上げた模様だ。原沢球団代表兼GMは「社会人同士の試合より、プロ相手でこっちも藤村、河野とか出て指標になった」と判断材料を得た。近未来の巨人を担う人材を多角的に探していく。

 ◆小林誠司(こばやし・せいじ)1989年(平元)6月7日、大阪府生まれ。中学時代は大阪泉北ボーイズに所属。広陵では投手兼遊撃手から捕手に転向。3年春夏に甲子園出場し、野村(現広島)とバッテリーを組んだが、夏は決勝で佐賀北に敗れた。同大では1年春から正捕手となりベストナイン3度、4年秋にMVP獲得。178センチ、72キロ。右投げ右打ち。