大型左腕をフルマークする。巨人は16日、東京・大手町の球団事務所でスカウト会議を行い、ドラフト1、2位候補の20~30選手を映像などで確認した。今ドラフトは1位候補が少なく小粒とされる中で、桐光学園・松井裕樹投手(3年)を別格視。1位候補の最上位として位置付けた。明日18日に始まる高校野球春季関東大会にも複数スカウトを派遣し、神奈川のドクターKをチェックする。

 松井に対する巨人の評価は、揺るぎないものになった。今月上旬に行われた高校野球春季神奈川大会で公式戦通算300奪三振を突破するなど、順調に成長している。今年3度目の会議を終えた山下スカウト部長は、松井について「最上位。スライダーは1軍クラス。魅力を感じる」と話した。大阪桐蔭・森友哉捕手(3年)らとともに、かねて上位候補としてリストアップしていたが、関係者の話を総合すると、成長の度合いなどを考慮し、評価を1ランク上げたようだ。

 明日18日に始まる関東大会には、複数のスカウトを派遣する。今後も複数でチェックする方針で、山下部長は「みんなで見て、自分の担当の選手と比較したりして、会議に意見を持ち寄りたい」と説明した。大物選手をマークする際にとる方法で、この点からも松井を中心に絞り込みが進んでいくことは間違いない。

 もちろん競合も覚悟している。仮に松井がプロ志望届を提出した場合、指名が集中することが予想される。山下部長は「1位で4球団、5球団とくるんじゃないか」とみている。球団の中には、それ以上の指名があると予想する見方もある。巨人は過去に5球団以上が競合する抽選で、交渉権を引き当てたことはない。95年福留の7球団、07年高校生ドラフトの由規、同年大学・社会人ドラフトの大場など、ことごとく外れている。ただ、4球団競合で引き当てた選手には、原監督や松井秀喜氏ら、球界を代表するスターがいる。競合にはリスクと同時に、大きなメリットがある。

 指名選手の決定は、例年通り夏の甲子園が終わった8月以降となる。渡辺恒雄球団会長は昨夏、甲子園で22奪三振を記録した松井を「欲しいですね。スーパースターが登場することで、野球界全体を盛り上げてくれる。長嶋、王、松井秀喜みたいにね」と絶賛している。球団トップがほれ込む逸材を徹底マークする。