<ソフトバンク3-4DeNA>◇23日◇ヤフオクドーム

 DeNAのドラフト3位ルーキー井納翔一投手(27)がロボコップ投法?

 で2勝目を挙げた。強打のソフトバンク打線を6回6安打1失点に抑えた。ピンチの場面では、両拳を上下する動作をマウンドで行い、低めの意識を徹底。大相撲・高見盛(現振分親方)の気合注入パフォーマンスに似た行動で気合を入れ、投手の台所事情が苦しいチームを救った。

 不思議な行動と言動から“宇宙人”と呼ばれるルーキーが、何やらおかしな動きを始めた。1点を失い、なおも5回2死二、三塁。1発が出れば同点の場面で、打席には前日22日に満塁アーチを放っている松田。ファウルで粘られた井納は、マウンドで握り締めた右手と左手のグラブを上下にブンブン振った。その姿はまるで、大相撲で取組前に観客をわかせていた高見盛のようだった。

 「低め低めに投げようと思って。無意識に出ちゃいました」。自然発生した“気合注入パフォーマンス”によって、さらに集中力が高まる。魂をこめた変化球を低めに決め、最後は空振り三振に仕留めた。5回まで毎回走者を背負ったが“ロボコップ効果”で最大のピンチを脱すると、6回は初めて3者凡退に抑え、プロ2勝目を手にした。

 行動の先が読めない。試合後、待ち受ける報道陣をよそに、ソフトバンクのマスコットと記念撮影を楽しんだ。ハリーホークとハニーホークに囲まれ、ご満悦の表情。前回の遠征先で、試合前のグラウンドにゆるキャラが集合した時は、時間を忘れてはしゃぎ、球団スタッフに連行された。子ども心を忘れない188センチの長身右腕は、いつも真っすぐな気持ちで攻める。

 苦戦を予想していた中畑監督は、いい意味で期待を裏切られた。これまで1勝4敗のルーキーと、WBC日本代表左腕・大隣の予告先発を見た時点で「諦めていたところがあった。井納がよく踏ん張ってくれたことが、勝ち試合をつくった最高の要因」と絶賛した。7日のプロ初勝利は、広島前田健に投げ勝った。“ハマの宇宙人”には、何をしでかすか分からない魅力がある。【柴田猛夫】