新戦力スラッガーで連敗ストップや!!

 阪神にトレードで新加入した高山久外野手(31=西武)が30日、1軍に合流し、本拠地甲子園で初練習した。今日31日オリックス戦(京セラドーム大阪)で1軍昇格し、いきなり指名打者で先発デビューする可能性もある。楽天に連敗して迎える、前回対戦で連敗を喫したオリックスへのリベンジ戦。元エース井川が立ちはだかるだけに、高山には左腕キラーの期待が大きい。

 まるで、往年の強打者・落合が構えているかのようだった。梅雨入りした甲子園の右打席。真新しいタテジマのユニホームを着た高山は脱力しながら体の正面でバットを掲げ、インパクトの瞬間に柔らかいリストをきかせて打つ。神主がおはらいをするしぐさに似た、前中日監督落合博満氏(日刊スポーツ評論家)の現役時代をほうふつさせる打ち方。「神主打法」こそ高山の特徴だ。

 フリー打撃では低いライナーで快音を連発。ミートに徹し、新たな本拠地の距離感を確かめた。中継ぎ左腕の川崎を放出して獲得した右打ちのスラッガー。打撃を見守った和田監督も「広角に打てる打者だし、特に3年前、一番いいときは交流戦で結構、やられているイメージがある」と評した。今季西武で1軍出場こそなかったが、前日29日のウエスタン・リーグ中日戦では中越えの移籍後初アーチをマーク。アゲアゲの状態は買いだ。

 実力は証明済みだ。10年には116試合に出場して打率2割9分1厘、11本塁打。特に阪神戦では14打数6安打で打率4割2分9厘をマークし、1本塁打。この猛打ぶりが指揮官の脳裏に焼きついている。今日31日のオリックス戦から1軍昇格し、指名打者で先発出場する見通しだ。

 和田監督は「そういう準備をしていると思うし、今日見て、判断して、だね。まだ登録もしていないから」と話すにとどめたが、好調維持の強打者に虎デビューの舞台は整っている。

 チームは楽天に2連敗を喫したばかり。交流戦好調のオリックスは元阪神の井川を先発に立てる。阪神にとってはもちろん、高山にとっても初対決の相手。「真っすぐとチェンジアップ…。角度がある感じですね。最初は左を打っていかないと。ベストを尽くして頑張るだけです」と思いをはせる。神主・高山のひと振りで、連敗の負のオーラを消し去る。【酒井俊作】

 ◆高山久(たかやま・ひさし)1981年(昭56)11月16日、熊本県生まれ。九州学院では高校通算43本塁打。99年ドラフト1位で西武入団。初めてレギュラーを獲得した10年には左投手に打率3割9分。177センチ、84キロ。右投げ右打ち。