<阪神3-2西武>◇5日◇倉敷

 トンネルを抜けるとサヨナラの歓喜だった。不振のためスタメン落ち危機だった阪神新井良太内野手(29)が指揮官の期待に応えた。2点を追う5回、左中間を破る二塁打。16打席ぶりの安打から反撃の1点につなげ、9回はあともう少しでスタンドインの三塁打。歓喜のフィナーレに導いた。試合前、和田監督が熱血指導。感謝の言葉はバットで示した。

 絶不調よ、さらば!

 三塁ベースまで、あと少し。良太は足がもつれそうになりながら、倒れ込むようにスライディング。ヘルメットがズレたまま、一塁ベンチに右拳を突き上げた。

 新井良

 冷静に、塁に出ようと思った。コンパクトに、コンパクトに、とね。

 同点の9回裏。先頭で2ボール2ストライクから、大石の外角低め144キロ直球を振りぬいた。打球は右翼フェンス最上部に直撃。ボールが転々とする間に三塁を陥れた。無死三塁を作り出せば、サヨナラ劇は既定路線と化す。ヒーローインタビューこそサヨナラ打の西岡に譲ったが、陰の主役は良太だった。

 新井良

 迷惑ばかりかけていた。それでも監督とか皆さんが「大丈夫、頑張れ」と声をかけてくれて…。なんとか貢献したかった。

 4試合連続安打がなかった。2日ソフトバンク戦で今季初めて代打を送られ、3日同戦は8番まで打順を下げた。それでも首脳陣は良太を使う。この日はフリー打撃を終えた後、和田監督から10分間超のアドバイスを受けた。指揮官の身ぶり手ぶりから想像すると、内角球のさばき方や左肩の開きなどの内容か…。

 和田監督は「走者がいる時に力が入りすぎる。力はあるからミートすればいい。上(上半身)だけで対処しようとしているけど、打撃は下だよ」と伝えたという。2点を追う5回は先頭で16打席ぶりの安打を記録。左中間二塁打を放ち、1点差に迫るホームを踏んだ。金言が良太に力を与え、良太が虎に力を与えた。

 コンパクトに強振する-。今、小さな工夫をしている。「下半身をどっしり安定させたいから」。構える際に以前より足の幅を広げ、外角球に対応するため数センチホームベース寄りに立つ。同時に内角球に詰まらぬよう、指2本分バットを短く持つ。サヨナラ劇を呼んだ三塁打には、工夫のすべてが凝縮されていた。

 新井良

 その前に(同点の6回、三振に倒れた)1死満塁で1点取れば、もっと楽だった。そこを反省して、また頑張ります。

 0・5ゲーム差のまま、首位巨人を追走。元気印の復活は、猛虎にとって何よりの朗報だ。【佐井陽介】