<ソフトバンク11-4ヤクルト>◇13日◇ヤフオクドーム

 ソフトバンクが猛打で2年ぶり4度目の交流戦優勝を決めた。打線を引っ張る4番松田宣浩内野手(30)がプロ初の5安打で3打点を挙げるなど、14安打11得点でヤクルトを粉砕した。開放されていた屋根が降雨で5回裏に閉まるドタバタのヤフオクドームに歓喜が待っていた。引き分けを挟んで6連勝で通算成績を15勝6敗1分けとし、勝率1位が確定。優勝賞金5000万円を手にし、2年ぶりリーグ制覇に突き進む。

 試合終了から22分後に、歓喜の瞬間は訪れた。選手サロンで取材に応じていた松田は、楽天が敗れての優勝決定をテレビで確認すると「やったー!」と叫んだ。隣のロッカー室からも喜びの声が響き渡った。グラウンドに戻った祝賀セレモニーで、ナインは誇らしげにトロフィーを掲げた。4度目にして、初めて本拠地で決めた。

 V決定試合も14安打11点の猛攻猛打で飾った。好調打線をけん引する松田が、プロ初の5安打と爆発した。自己最長の連続試合安打は17と伸ばした。2点リードの3回に右中間フェンス直撃の2点適時三塁打。「うれしい気持ちでいっぱい」。ラヘアに代わり5月28日巨人戦で4番復帰後、10勝1敗1分けと快進撃だ。「4番松田」はVのキーワードの1つだった。

 秋山監督が「打線が途中からつながるようになった。上り調子。その結果だ」と歓喜の要因を分析。藤本打撃コーチも4番松田の効果をこう説明する。「走者一、三塁でラヘアは併殺打や三振が多かった。松田ならセカンドゴロでも1点が入る。そういうのが大きい」。決して破壊力はないが、内川、長谷川と組む和製クリーンアップがタイトルに導く原動力となった。

 松田は連続試合安打が始まった5月20日の中日戦から重心を低く下げる打法に改良。さらに、試合前のフリー打撃で「自己革命」を起こした。意識して右中間への打球を増やしたのだ。「僕の中では絶対にないことだった。今まで調子が悪いときは、インコースを投げてもらってレフトにこれでもかと引っ張っていた。とことん悪くなったので変えてみようと」。180度、ならぬ90度の転換でヒットゾーンが広がり、2割3分台だった打率はついに3割目前だ。

 交流戦中に摂津、寺原、武田ら先発投手が次々と離脱しながら、打線を軸に全員でカバー。交流戦のチーム打率は12球団トップの2割9分3厘。本塁打を除く打撃4部門でソフトバンク勢がトップに立つ。松田は「チームもそうだし、僕個人的にもこの打撃を継続していきたい」と次なる戦いへ目を向けた。気づけばパの首位ロッテにも1ゲーム差に迫った。最高の弾みをつけ、2年ぶりリーグ制覇、そして日本一へまい進する。【大池和幸】

 ▼ソフトバンクが勝ち、楽天、オリックス、阪神が敗れたため、ソフトバンクが2年ぶり4度目の交流戦優勝を決めた。4度の優勝は12球団最多。秋山監督の優勝は09、11年に続き3度目で、バレンタイン監督(ロッテ)の2度を超えて単独トップに立った。