<楽天8-4ロッテ>◇4日◇Kスタ宮城

 「仙台夏の陣」を制し、星野楽天が4連勝で同率首位に立った。ロッテとの首位攻防第2戦。4番アンドリュー・ジョーンズ外野手(36)が、来日初の2打席連発となる先制&勝ち越しの2本の2ランを放ち、6投手の継投で逃げ切った。貯金が2ケタ10に乗ったのは、CSに出場した09年以来。6月以降の首位は、球団創設9年目で初めてだ。

 星野監督は、いつもより冗舌だった。球団史上初めて6月以降で首位に立った。「へー、そうですか。知ってましたけどね。その割には、お客さんが少ないなあ。選手は頑張っている。もう少し来てほしいですね。(貯金10も)知ってました」と、質問者と会話を楽しむように答えた。

 勝っても、負けても「うちはその日暮らし」と言ってきたが、あっさり「貯金10」の壁を破った。軸が働いた。ジョーンズが1回に先制、2-2の4回は勝ち越しと、ロッテ古谷に2ランを2発も見舞った。どちらも高めの変化球を引っ張り、左翼席へ。チームの総本塁打数は昨年の52本を早くも越え、53本となった。

 16打数連続無安打中でも、星野監督から4番を任された。昨季は8人も務めた打順が、今季は不動。泣きどころ解消の使命を背負う。復調の兆しはあった。試合前のフリー打撃で柵越え連発。投手寄りに動いていた頭が全くぶれなかった。「上体が突っ込み、球を下から見ていた。上からたたく」と自ら言い聞かせた。雨天中止の前日3日は、室内でカーブマシンで打ち込んだ。緩い球を引きつけた。「監督は我々の父親。良い野球をすれば喜んでもらえる」と親孝行を果たした。

 4番だけではなかった。星野監督が我慢して使い続けた銀次が4安打。5回1死一、三塁のピンチでは藤田の好守が救い、6投手がつないだ。「やりくりしかない」が口癖の星野監督が、この日は「みんな成長しているのかな」と、公で珍しく褒めた。首位に立ったからではない。交流戦中、グラウンドを離れた場所で「選手はよくやっている。でも、口には出さない。出すと、その気になる。まだ早い」と言った。会見での褒め言葉は、チームが段階を上がった証拠だった。

 それでも、最後は「私の計算では、(負けても2ケタを維持できるために)貯金11で貯金10。もうひとつ。目の前を見る。上も、下も見ない」とビシッと引き締めた。1歩1歩の積み重ねで、ここまで来た。この先も同じだ。【古川真弥】

 ▼楽天が4月9日以来の首位に浮上した。球団史上、これまで最も遅い首位は09年5月13日(チーム33試合目)で、6月以降の首位は初めて。星野監督にとって6月以降の首位は阪神監督時代の03年(優勝)以来、10年ぶりとなった。これで40勝30敗の貯金10。楽天が2ケタ貯金をマークしたシーズンは09年(最大貯金13)以来2度目になる。