<巨人2-0DeNA>◇7日◇東京ドーム

 抑えられる確信はあった。7回、1発が出れば同点の場面で、マウンドの巨人杉内俊哉投手(32)が迎えた打者は、球界屈指のパワーヒッター・ブランコだった。カウント2ボール2ストライクからの勝負球に選んだのは直球。「気持ちだけ。意表を突くインコース真っすぐ」と表現した。百戦錬磨の勝負勘。破れかぶれの力勝負ではない。ガッツリと差し込んだ。打球は力なく右翼手亀井のグラブに収まっていた。

 第1打席は真ん中低めの直球で詰まらせ、二飛に打ち取っている。第2打席にはスライダーで空振りを取り、最後はチェンジアップで空振り三振。そして勝負球の3球前には、内角低めのスライダーで空振りさせた。「変化球も頭にあったはず。チェンジアップ、スライダーで空振りを取っていたし」と力勝負に至った経緯を解説。「今年イチ、よかった。強気な攻め。コースにいかなくても、力で抑える。ホームランを打たれても仕方ないと思って、腕を振った」と本来の威力のある直球がよみがえって手応えも、力勝負する根拠になっていた。

 昨年、左肩の違和感を訴え、日本シリーズの先発を回避。「痛みはないけど、腕が抜けそうな感じがした」と危険を察知しての回避だったが、今季もここまで、知らず知らずのうちに肩をかばっていた。「今日を境にいい方にいってくれれば。やっと腕が振れてきた。無意識で振れていた。去年のこともあったので」と話せるのも、自らの手応えと自信が戻ったからだ。

 東京ドームで強力DeNA打線を8回2安打でゼロ封。本拠地での白星も4月11日以来で、チームトップタイの7勝目。正真正銘の完全復活だった。【小島信行】