<日本ハム3-7ロッテ>◇13日◇札幌ドーム

 手負いの主砲の1発も空砲に…。パ・リーグ本塁打争いトップをひた走る日本ハム中田翔内野手(24)が、4回、一時は同点となる22号ソロを放った。右手のひら痛で試合前のフリー打撃を回避したが、4番の意地で8試合ぶりの1発。しかし、チームは守備が乱れて今季3度目の3連敗を喫し、ソフトバンクと並んで最下位に転落した。

 手負いの4番が放った意地の一打も、空砲に終わった。リーグ最多22本目のアーチを放ちながらも喫した重い1敗に、中田は「みんな考えていることは一緒。勝ちたかったですし、勝たないといけない試合だった」と悔しがった。ソフトバンクとともに6月25日以来の最下位へ転落。前半戦終了を間近にして再び狂いだした攻守の歯車は、4番のフルスイングをしても止めることが出来なかった。

 1点を追う4回、外角のカーブを巧みにバットで拾った。左翼席ぎりぎりへ飛び込んだ同点弾に、一塁ベースを回ると控えめにガッツポーズ。9日の楽天戦で田中と対戦した際に右手の母指球筋(親指付け根の膨らみ)を痛めた影響で、この日の試合前練習でもフリー打撃を行わなかった。「フリー打撃で痛みが出て、それを抱えたまま試合に出たくなかった」。まだ、少し腫れが残った状態だが、そんなことは感じさせない。2回の第1打席でも、早々と追い込まれながら、4球連続ファウルで粘って中前打。先制のホームを踏んだ。

 実は、試合前は、ちょっと“弱腰”だった。15日西武戦(札幌ドーム)の試合前に、人気アイドルグループ・AKB48の前センター大島優子と「1球勝負」で対決することが決定。始球式ではなく、あくまで“勝負”だが「ピッチャーライナーになったら、どうするの。危ないよ」と紳士的な発言。その心は「けがをさせたら大変。おれ、ススキノ歩いてたら、後ろから刺されちゃうよ」とビクビクしながら、難色を示していた。だが、そこはチームの看板打者。こんな時期だからこそ「まあ、期待しててよ」と国民的アイドルとの対決で、盛り上げ役としてひと肌脱ぐ覚悟を決めた。

 チームは約2カ月ぶりの3連敗で借金は2に。前半戦の残り3試合で1敗でもすれば、05年以来8年ぶりの借金ターンが決定する。それでも、下を向くのは、まだ早い。「状態がいいとは思えないけど、苦しみながらも結果を残しているということは、4番として前に進んでいる」と栗山監督。頼もしい4番がいる限り、再び浮上のチャンスはやって来る。【中島宙恵】