<日本ハム3-4西武>◇17日◇函館

 日本ハムが8年ぶりに前半戦を借金ターンした。勝率5割で臨んだ西武戦で2度のリードを守り切れずに、痛恨の逆転負けを喫した。要所で打線が精彩を欠き、栗山英樹監督(52)が勝ちパターンの投手を投入した必勝の継投策も実らなかった。5位に沈んだ05年以来、貯金なしで後半戦をスタート。重い1敗を糧に、球宴明けから巻き返しを狙う。

 叫んだ。陽岱鋼が、自分への怒りを野太い声に乗せた。1点を追う9回1死三塁。犠飛でも振り出しに戻せたチャンスで、空振りで3球三振。いらだち、何らかの言葉を思い切り発した。続く代打ホフパワーも同じく空振り3球三振。1年に1度の函館開催に詰めかけた観客席のファンは、一気に消沈した。失意の栗山監督は「野球は平等ではないことばっかりだよね」と独特の言い回しで悔いた。

 勝てば貯金、負ければ借金ターン。後がない一戦に、情熱いっぱいの指揮官は入り込んでいた。最大で負け越し10もあった前半戦の最終戦を前に、しみじみと回想していた。「苦しみまくっていると、ものすごく早い。決勝戦のつもりでやる」。全力で脳裏を巡らせ、駒を動かす。あとは信じて託す。就任して2年目でも揺るがないポリシーで、局面と向かい合った。執念のタクトをふるった。

 攻守で繰り出した一手一手に、強い思いがにじんだ。1点ビハインドでも矢貫-増井-武田久と、勝ちパターンの投手を投入していった。稲葉、大谷に迷うことなく代打を送っていった。それでも開幕からの厳しい戦いを象徴するような接戦負け。勝負どころのチャンスを生かした西武と対照的に手を尽くしても、局面を打ち破れなかった。「オレのせいだと思う」と責め続けた。

 思い切り戒め、悔いいっぱいの一戦を締めた。「後半戦からはキチッとやります」。現場の最高トップになって1年目の昨季は順風満帆だったが、今季はコーチ陣も一新されるなどの変化もありながら、盛り返した。もがく栗山監督の苦悩は、届いている。5回に自分を殺し、押し出し四球を選んだ中田は言った。「勝たせたかった。何とかしたい」。一丸の思い。残り62試合、まだまだ明るい。【高山通史】

 ▼日本ハムが借金ターン

 日本ハムは17日の西武戦(函館)で敗れ、球宴前の前半戦を40勝41敗1分けの借金1で終えた。北海道に本拠地を移転した04年以降で前半戦負け越しは04年(37勝42敗1分け)、05年(37勝51敗2分け)に続き3度目。前半戦終了時に最も貯金が多かったのは11年の24(47勝23敗2分け)。