<西武1-13日本ハム>◇6日◇西武ドーム

 中田キング弾で、チームも押せ押せの大勝。日本ハム中田翔内野手(24)が、リーグ単独トップの24号本塁打を放った。昨年に並ぶ自身シーズン最多本塁打で、4日に23号を放ち並んでいた同僚アブレイユを再び突き放した。チームは6回に8安打を集中するなど、今季最多の21安打を放ち13点を奪い、連敗を3で止めた。

 堺雅人とは似ても似つかない。ソフトモヒカンの和製大砲が、人気沸騰ドラマ「半沢直樹」に変身した。中田が、倍返しの力強い放物線をかけた。5回に自らの送球エラーをきっかけに1点を失い、3点差とされた直後だった。無死一塁。内角高め139キロ直球を、やや詰まりながらも、太い両腕で押し込んだ。ゆったりとした滞空時間を経て中堅左へ飛び込んだ。節目の一振りになった。並んでいた同僚アブレイユをまた1本差に突き放す24号。昨季の自身シーズン最多タイに50試合を残し並んだ。

 まさに話題ドラマの主人公のように、1点の借りを倍にして返した。守備のミスにいらだち、嘆き続けた。「ああいうところでちゃんとしないといけない。せっかくスタメンで使ってもらっているのに…」。24歳で4番を張る責任感が詰まっていた。後輩との食事の際には基本的に一銭も出させずに、ごちそうするのが常。私生活でも、借りはつくらない中田の流儀がさく裂した。この回一挙7点の猛攻の起点になった。ワンサイドゲームへと誘導する、けん引役になった。

 試合前。武者震いするシーンに直面した。栗山監督が、球場内の食堂に選手を集めた。コーチ陣をシャットアウトし、すべてのドアを閉め切った。この日まで後半戦は11試合で、2勝9敗で3連敗中。カンフル剤を注入されていた。「今日からまた、開幕したつもりでやろう!」。今季の開幕戦が西武ドームだったことから原点回帰で、指揮官がムチを入れるために気勢を上げた。その時、栗山監督が自重したのが「やられたら、倍返しにしろ」というフレーズだという。「笑ってもらえなかったら困る」と遠慮したが、胸に響いた中田が、その隠した思いを体現した。

 今季最多21安打、13得点で大勝。倍返しとはいかないが、4日楽天戦で1イニング7二塁打のプロ野球記録を樹立されるなど記録的大敗。栗山監督が「頭から離れない」とこの日もうなされた悪夢の借りを翌戦で、打線の柱が中心になって返した。昨季の自分に並んでも「常に上を目指していきたい」とさらりと流すのが、ど真ん中の主力として心が成長を遂げている証し。混戦パ・リーグを熱くするため、中田がバット1本でドラマを演出していく。【高山通史】

 ▼日本ハムが今季最多の21安打

 6日西武戦(西武ドーム)で21安打を放ち、今季最多を更新した。これまでの最多は18安打で、4月14日オリックス戦(ほっともっと神戸)、同24日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)、5月3日楽天戦(Kスタ宮城)、7月15日西武戦(札幌ドーム)の4試合で記録していた。20安打以上は09年6月17日阪神戦(京セラドーム大阪)の21安打以来。球団記録は08年10月1日楽天戦(Kスタ宮城)で記録した28安打。