<広島1-0阪神>◇6日◇マツダスタジアム

 広島が特別な夜に、サヨナラ勝ちした。0-0の9回1死三塁から丸佳浩外野手(24)の中犠飛が決勝点となった。広島で「8・6」初登板となったエース前田健太投手(25)が、7回5安打無失点の熱投。右肘の違和感で降板したが、勝利への道筋をつけた。「原爆の日」に本拠地で白星を挙げたのは、58年以来。チーム一丸の勝利を収めた。

 特別な日のマウンドに、前田健は右腕にも力が入った。6日は「原爆の日」。「もちろん勝ちたいけど、いつもと違う気持ちを持ってマウンドに上がる。もう1回初心に帰って、見つめ直す」。常に勝つことに力を尽くすエースにも、胸に秘める思いがあった。

 序盤は思いが力みとなった。1、2回に2安打ずつ浴びた。だが、要所を締めて得点は許さず。直球は今季最速タイの152キロをマークし、宝刀スライダーを配球の軸とし、阪神打線を7回5安打無失点に封じ込めた。最後は、右肘の違和感を考慮されて降板したが、先発の仕事は十分に果たした。

 「球場の雰囲気も違ったし、平日でもファンがたくさん来てくれた。5回に歌があったり、違う雰囲気の中で、サヨナラで勝てたのは最高です」

 プロ1年目のときだった。「広島に来たからには、1回は行っておかないといけない」と、原爆ドームと平和記念資料館を訪れた。当時の惨状を目の当たりにし「想像以上でした。(言葉にするのは)難しい」と振り返る。それ以来、年に1度は平和記念公園へ足を運ぶようになった。

 「広島に来て思いは強くなった。カープが出来た経緯もあるし、なんとか勝って優勝して、盛り上げられたらと思います」

 球団は原爆被害からの復興シンボルとして設立された。つらい過去を共有してきた広島の人々を、最も喜ばせる方法は分かっている。

 サヨナラ犠飛を放った丸は「平和にこうしてみなさんの前でプレーできていることに喜びを感じています」と語った。「8・6」に本拠地で勝利を挙げたのは、55年ぶりのこと。今季5度目のサヨナラ勝ちで、チームは3位タイに浮上。忘れてはならない日に、大きな1勝となった。【鎌田真一郎】