<広島1-0阪神>◇6日◇マツダスタジアム
快投が吹き飛ぶサヨナラ負けだった。広島ナインのお祭り騒ぎを横目に、顔を紅潮させた阪神ランディ・メッセンジャー投手(31)が足早にロッカーへと消えた。8回まで2安打10奪三振無失点。それでも勝てない。魔の9回だった。先頭ルイスが放った当たり損ねのゴロは緩く、遊撃内野安打になる。一塁への2度目のけん制が悪送球…。二塁に進塁され、犠打で1死三塁。丸に中堅へのサヨナラ犠飛を許し、悪夢を見た。
広島のエース前田健と堂々と渡り合った。相手が7回で降板しても、助っ人右腕はマウンドを譲らない。中西投手コーチは「今年一番の出来。ボールに力があったし、角度もあった。9回だな。あの回だけだ。132球だからな」とかばったが、メッセンジャーは険しい表情で「試合に負けて、満足することはない。投球内容は良かったと思うけど、もしベストなら、今日の試合に勝てたと思う。(すべては)けん制悪送球さ。これ以上、何も言うことはない」と振り返った。
7月の月間MVP男は8月に入っても、勢いが止まらない。この日も試合終盤になるほど、白球は熱を帯びた。150キロ超の剛速球を連発だ。7回を3者連続三振に仕留めると、8回もペースアップ。石原を直球で空を切らせ、木村には低めフォークを振らせた。スライダーやフォーク、カーブを織り交ぜる投球術で、今季最多タイの10奪三振をマークした。シーズン114奪三振でリーグトップに浮上。阪神の外国人では史上初となる最多奪三振のタイトルに挑戦権を得た。
来日4年目で頂点奪取に執念を燃やす。先発陣の中心として自覚十分だ。5、6月に能見が月間MVPを受賞。左腕エースに続き、阪神勢の3カ月連続受賞をなし遂げた。「ずっと優勝を目標にチームがやっている。先発投手が仕事ができていることは素晴らしいこと」。巨人とは再び7・5ゲーム差に拡大。快投だけでは満足できなかった。
自身5連勝はならず、6月22日DeNA戦(横浜)以来の黒星を喫した。孤立無援の今季5敗目。やるせなさだけが募る広島の夜だった。【酒井俊作】



