<巨人7-7DeNA>◇15日◇東京ドーム

 あと1歩だった。DeNA中畑清監督(59)は、就任2年目で初となる巨人3連戦でのカード勝ち越しを逃した。「一瞬喜ばせてくれたけど、最後まで喜ばせてくれないのが巨人戦だね。また頑張れ、というメッセージかもしれない。これをいい意味での勢いにつなげたい。選手はよく最後まで頑張ってくれた」。さっぱりした表情で、負けなかったことを評した。

 勝利目前…2点リードの8回2死二塁から、山口が阿部に痛恨の同点2ランを浴びた。10回裏には1死満塁のピンチも、大田が後続を断った。勝ちがなくなった12回裏2死からは阿部を敬遠した。スタンドからブーイングも出たが「負けないための戦術。ジャイアンツの監督でもやったと思う。言い訳になるけど、非難は私が受けます」と、執念の采配を説明した。

 試合前の練習中、三塁側スタンドの少年ファンから「バントのサインが少ないよ!」と声が飛んだ。中畑監督はすかさず「じゃあ高校野球を見なよ。プロの野球を見せてやる!」と言い返した。すぐに「あんな子供にムキになっちゃった…。大人げなくてすみません。なんでだろう…。そんな自分が情けない」と反省したが、続けて「ウチは勝つためにビッグイニングをつくる努力をする。もちろん大事な時は(送りバントを)やるよ」と、戦い方の信念を口にしていた。

 その言葉通り、勝負どころで積極策をとった。1点を勝ち越された直後の7回。先頭の代打後藤が出塁すると、続く石川に送りバントはさせず強攻。中飛に倒れたが、梶谷が2打席連続となる右翼席中段への4号2ラン。梶谷は「石さん(石川)でバントかと思ったけど、押せ押せの感じで打席に入れた」と、攻めの采配にしっかり応えてみせた。

 球場を後にする際、中畑監督は「勝った気分でいるけどそれではダメ」と自らを戒めた。巨人戦は残り7試合。勝ち越す機会は2回しかない。あの少年ファンを喜ばせるような、プロの戦いで結果を残したい。【佐竹実】