歓喜の瞬間は、もうすぐだ。楽天が初優勝へ近づいている。8月28日オリックス戦に勝ち、球団初の優勝マジックが点灯。いったんは消えたものの、9月5日に再点灯させ、マジック減らしの段階に入った。創設9年目。Bクラスが常連だったチームが、ついにここまで来た。仙台の、東北の、悲願を果たす。

 Kスタ宮城に、これまでにはない空気が流れていた。9月6日に行われた日本ハム戦の9回だ。3-2とリードは、わずか1点。マウンドの田中将大投手(24)がアウトを1つ取るたびに、ものすごい歓声が起きた。それもそのはず。この日の入場者数2万2316人は、同球場の最多を更新していた。成績と比例するようにアップした観客動員に対応し、球団は9月から三塁側内野席に特設スタンドを増設。マー君を見ようと、その特設スタンドまで、びっしり埋まった。

 3アウト目、田中が日本ハム佐藤から三振を奪うと、勝利のジェット風船が舞った。開幕20連勝を達成したエースは「新しい席が増えて、そこも埋まっているのが見えました。投げていても力を感じました。ありがたいですね」と感謝した。チームの快進撃は、間違いなく1人1人のファンに支えられている。

 それだけ多くの人を引きつける試合が増えた。“投”の立役者は、まずもって田中だ。開幕当初こそ不調だったが、コンディションが整うにつれ、投球内容も急カーブを描いた。1人でチームの貯金をほとんど稼いでいるのだから、田中抜きには今季の楽天は語れない。“打”は、これまでの戦力の底上げに、新顔がマッチした。松井、藤田、嶋らベテラン、中堅が構える中、銀次、枡田、岡島、島内ら若手が成長。そこに、ジョーンズとマギーという大砲2人が加わった。切れ目のない、いやらしい打線になっている。

 そして、星野監督。就任3年目の今季は、昨季までと比べ随分、選手との距離が近くなった。9月のある日のこと。練習中に1人だけ、島内が色違いのシャツを着ていた。それを見た監督は「何だ、それは」と突っ込んだ。島内は、すかさず「目立つためです!」。これには、監督もニヤリ。周りも爆笑だった。チーム一丸となって、優勝へ突き進む。【楽天担当・古川真弥】<昨年までとこんなに違う>

 7月4日から首位を走る楽天。田中の20連勝以外に、他にも昨年までとは違った点を挙げてみる(数字は14日現在)。

 ◆逆転勝ち

 ここまで逆転勝ちはリーグ最多の31度。星野監督が就任してから逆転勝ちの最大得点差は11、12年とも3点差だったが、今年は4点差をひっくり返したのが4度。8月24、25日ロッテ戦では球団史上初の2試合連続4点差逆転勝ちを記録した。

 ◆外国人打者

 新外国人のジョーンズが4番を打ち続け、マギーも5、6番で全試合にスタメン出場。2人が中軸に座り、マギー25本、ジョーンズ23本と、球団史上初めて助っ人の20本塁打コンビが誕生。先制、同点など、肩書付きの殊勲安打はマギー21本、ジョーンズ20本で両外国人がチームの1、2位と勝負強さを発揮した。

 ◆堅い守り

 昨年79個あった失策はリーグ最少の55個に減少。このままリーグ最少失策ならば球団史上初めてだ。一塁がフェルナンデス→銀次、二塁が銀次→藤田、三塁が高須→マギーに代わり、内野の失策が減った。盗塁阻止率もリーグ最低だった昨年の2割1分8厘からリーグ1位の3割5分7厘へアップ。