<ヤクルト9-0阪神>◇15日◇神宮

 「その時」をマウンド上で迎えた。阪神榎田大樹投手(27)はうなだれるでもなく、ただ、次のプレーを待ち、前を見つめた。バレンティンが新記録の祝福をチームメートから、スタンドのファンから受けている間も、下を見なかった。

 1回1死二塁の初球、大胆にも内角を突いた。意表を突かれたのか、バレンティンも手が出なかった。2球目、榎田はサインに首を振った。日高は内角に構えていたが、外角に構えを変えた。この球が外れ、3球目は再び内角に直球でボールになった。そして4球目のコントロールが甘くなった。生涯忘れられない打球が、空に高く上がった。

 前半戦の最後、7月17日巨人戦以来の勝利を目指したマウンドだった。バレンティンには3回にも57号を被弾し、この回途中5失点で降板。「早い回でマウンドを降りることになって申し訳ないです」と振り返った。中西投手コーチは「コントロールミスもあったけど、気持ちが逃げていたな」。登板機会がないケースを含め、今季5度目となる2軍再調整を命じた。【山本大地】