<ヤクルト9-0阪神>◇15日◇神宮

 帰りのバスへと歩く阪神和田豊監督(51)に虎党の叫びが降り注いだ。「和田~!

 ○△×」。激励とやじ、さらにはバレンティンへの歓声が入り交じる中を歩いた。20イニング無得点で、2戦連続で今季21度目の無得点負け。負の数字を苦々しく、振り返った。

 「初回、チャンスがあったからね。それだけじゃない。根が深いというか、何かを引きずってやってしまっている」

 マートンが出場停止の中、初めて福留を3番で起用した。初回1死三塁からその福留が中堅へ打ち上げたが、三塁走者西岡はスタートを切りかけてストップ。4番鳥谷も倒れて、無得点に終わった。4回無死二塁も得点に結びつけることができず。打線は完全に機能不全に陥った。指揮官は単なる“タイムリー欠乏症”ではなく、もっと根の深い問題ととらえていた。

 「大きなものもあるだろうし。どこかで線を引いてというものを持っているんだけど、引ききれない中で野球をやってしまっている」

 6カード連続負け越しの始まりは8月27日からの東京ドーム巨人3連戦。5ゲーム差で挑み、3連敗を。ライバルに差を見せつけられた天王山から大失速が始まった。気付けば3位広島とも6・5ゲーム差。燃え尽きてしまったような戦いを続ける猛虎に立ち直るきっかけはあるのか。明日17日からは敵地で広島との直接対決を迎える。【鈴木忠平】

 ▼阪神が今季21度目の無得点負けを喫した。球団シーズンワーストは63年の24度。14日ヤクルト戦に続いて2試合連続のゼロ敗で、これは3月30、31ヤクルト戦(神宮)以来今季2度目。今季ヤクルト戦4試合目の無得点負けとなり、これは広島戦と並びカード別最多。今季ヤクルト戦は14勝6敗で勝ち越しを決めているが、6敗中4試合で完封を許している。