57本塁打を放ち、シーズン最多記録を更新したヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)の偉業をたたえ“記念事業計画”が続々と進行中だ。本人使用のバットは、同モデルの数量限定発売が計画されている。また本拠地・神宮では、55~57本目が着弾した外野席に「バレンティン・シート」設置アイデアが浮上。球団は本塁打数をカウントする「ココ・メーター」の表示限度数を65発まで拡大し、さらなるアーチ量産に期待する。

 バレンティンが使用したお宝バットの数量限定発売計画が進んでいる。オールドヒッコリー社のアジア総代理店を務めるアイスポーツ社の小林充氏(49)は「本塁打の数限定だと少ないかもしれませんね。3冠王も狙えますから」とバレンティンモデル作製に乗り気だ。同社バットを使う阪神マートンが10年にシーズン安打日本記録を樹立した時には、安打数に合わせて214本の記念モデル軟式用バットを販売。今回も同様に準備し、シーズン終了後に詳細をつめるという。

 歴史の舞台となった本拠地の神宮では「バレンティン・シート」の設置を検討中だ。日本記録に並んだ55発目は右翼席、更新した56発目は左中間席、記録を伸ばした57発目は左翼ポール際へ。本塁打の着弾点を球場職員が調査し、位置をチェックした。「まだアイデア段階ですが、なんらかの形で記念として残すと思います」と球団関係者。ローズが01年に日本タイ記録を放った京セラドームでは、青色の座席の中でわかりやすくローズ色(ピンク)にした。今回は記録更新のたびに記念席が増えるだけに、本塁打数を強調した工夫が施されそうだ。

 神宮正面入り口に設置された、本塁打数をカウントする「ココ・メーター」がファンの記念撮影用として人気だが、球団関係者は65発までカウントできるように準備した。記録の重圧から解放された怪物が、いったいどこまで数字を伸ばすのか。残り18試合、期待が膨らむばかりだ。