<西武5-1日本ハム>◇17日◇西武ドーム

 日本ハムのリーグ連覇が、今日18日にも消える。1回に陽岱鋼外野手(26)の18号ソロ本塁打で先制したが、その後は投打に精彩を欠き、今季ワーストタイの1安打で4連敗。クライマックスシリーズ(CS)進出圏の3位とは7・5ゲーム差のままだが、首位楽天とは今季最大16ゲーム差に開いた。今日の同戦に敗れ、楽天がソフトバンクに勝てば、日本ハムの優勝の可能性は完全に消滅する。

 自問自答した。栗山英樹監督(52)は、うなりながら歩を進めていった。シーズン最佳境にきて、見せ場なく終わった4連敗。開幕から波に乗れない状況を象徴するような黒星。勝負に必要な“流れ”を、最近では恒例の擬人化した。「ヤツをつかまえられないんだよね。ヤツを…。本当につかまえきれないんだよね」。西武ドーム名物の長い階段を苦悩しながら、あっという間だった。バスに乗り込む間際は、まだ敗戦の弁に続きがあるようだった。「う~ん」と首をかしげ、座席へと体を預けた。

 終戦の危機を現実視する必要に迫られてきた。1回に陽岱鋼のソロで先制したが、2回以降のスコアボードは不動。得点も「H」ランプもともすことなく、今季ワーストタイの1安打で散った。4戦連続で先制しながらの逆転負け。今日18日の試合で敗れ、首位楽天が勝てば、リーグ優勝が完全に消滅する。大きな節目が、もう目前になった。孤軍奮闘の陽岱鋼が「しょうがないというか、残り試合しか考えていない」と必死に前を向いても、後がなくなってきた。

 脳裏に、すがりたい先人の言葉が浮かぶ。栗山監督は“流れ”を「ヤツ」と擬人化する理由を、こう説明した。「三原さんがよく言っていたんだよね」。巨人、西鉄などの監督を歴任した、尊敬する伝説的名将・三原脩氏(享年72)の言葉を引き合いに出しているという。中田、大引のレギュラー2人が故障離脱。指揮官1人の力では無力だが、責め続けた。「毎日、毎日、先制しながら勝てない。本当に申し訳ない。申し訳ない」と連呼。「この流れをどう変えていけるのか」と切り替えようにも、残り16試合しかなくなった。

 西武には今季のカード負け越しが決定。目を背けたくなる負の数字が、山積してきた。就任1年目の昨季はリーグ優勝し、迎えた2年目。ギャップがあるから、少し振り返りたくもなった。栗山監督は、回想した。「何か、浮草をつかんでいる感じ。パッとつかんでも沈んでしまう。そんな、感覚があるんだよね」。札幌ドームへ本拠地移転10年目のメモリアルイヤー。ペナントを手放すという悲劇に直面する日は、近い。【高山通史】

 ◆日本ハムのV完全消滅

 楽天が今日18日のソフトバンク戦に勝ち、日本ハムが西武に敗れれば、日本ハムの連覇は完全に消滅する。楽天は残る17試合に全敗した場合、75勝67敗2分けの勝率5割2分8厘。日本ハムは残り15試合に全勝しても最終74勝68敗2分けの勝率5割2分1厘で、楽天の勝率を上回ることができなくなる。