中日がV奪回体制に着手できないでいる。今季限りで退任する高木守道監督(72)の後任が未定で、外国人やベテランの処遇、ドラフトなどチーム編成が進んでいない。新監督については白井文吾オーナー(85=中日新聞社会長)が10月決定を打ち出し、監督人事に付随する人事も凍結中。チーム内には出遅れを懸念する声が上がってきた。早く決めましょう、白井オーナー!

 中日はルナに続いてカブレラとの契約更新をこの日、発表した。だが他の決定事項は多くない。チーム最多25本塁打のクラークと、セットアッパー・マドリガルの去就は未定。ベテランとは「進退面談」を始めているが、引退発表した山崎と現役続行が内定した山本昌以外の去就は未定だ。

 さらにはドラフト、新外国人の補強戦略、戦力外選手なども決めかねている。球団幹部の1人は「新しいチームづくりができない」と本音をこぼした。

 すべては、今季限りで退任する高木監督の後任が決まっていないからだ。候補に牛島和彦氏(52=元横浜監督)やケン・モッカ氏(62=元ブルワーズ監督)、立浪和義氏(44=野球評論家)、井上一樹氏(42=1軍打撃コーチ)らの名前が挙がっている。だが白井オーナーは18日「進ちょくしていない。一番いいのはペナントレースが終わってから」と凍結宣言。CS進出を目指すチームへの配慮も含め、決定は10月の見通しを示した。

 中日の監督人事は、オーナーの専権事項と言える。オーナーが「まだ」と言う限り、付帯する人事も先延ばしの形になる。チームをつくる側は新監督の考えを聞き、意向を存分に反映させたいが、会議を開いても前に進まない。

 前回11年の監督交代は電光石火だった。9月22日に落合監督退任と高木新監督就任を同時発表。優勝争い真っ只中の人事に議論も起こったが、高木新監督は自身のチーム編成に早くから関与。ドラフト1位指名も高校通算71発の高橋周平がスムーズに決まった。

 だが今年は即戦力なのか、将来性を含めて桐光学園・松井ら高校生で行くのかも未定。10月1日の戦力外通告解禁も迫っており、ほとんどの編成を新監督抜きで決断していかざるを得なくなる。秋季キャンプの方法など問題は山積み。営業サイドも営業をかけられないでいる。決定が遅いほど各方面の準備が遅れ、いいチームづくりができるかにも疑問符が付く。

 高木監督の退任は2年前からの既定路線。新監督決定を待ちわびているのはファンだけではない。白井オーナーの1日も早い決断が待たれる。【松井清員】<中日の停滞事項>

 ◆外国人編成

 ルナ、カブレラと契約更新。クラーク、マドリガルは去就未定。

 ◆ベテラン処遇

 山崎の引退と山本昌の現役続行は内定。和田、荒木、井端、森野らとは「進退面談」を開始。戦力外選手は未定。

 ◆ドラフト

 1位指名候補を5人程度に絞るが、即戦力、将来戦力のいずれを重視するかなど方針未定。

 ◆新監督に付帯する人事

 コーチスタッフ、フロントの人事等は白紙。

 ◆キャンプ

 秋季キャンプの方法などオフの強化方針が未定。