<西武4-2楽天>◇25日◇西武ドーム

 1勝の重みを、掲げた右拳に込めた。西武片岡治大内野手(30)が、サヨナラ本塁打を放った。9回2死二塁、強烈なライナーが左翼の頭上へ。二塁打と勘違いした数人の選手が、ダイヤモンドに“乱入”しかける。その様子を優しい笑顔で見つめ、歓喜のウオーターシャワーに身を委ねた。「お足もとの悪い中、私、片岡のためにお集まりいただいて、ありがとうございます」。キッチリと笑いもとって、劇的な勝利を締めた。

 勝負強さを引っさげ、帰ってきた。9月15日のロッテ戦で1軍復帰後、チームは7勝2敗。ちょうど3分の1の3試合で勝利打点を挙げた。「う~ん、どうなんでしょうかねぇ」と言葉を選んだが、渡辺監督は「勝負強い片岡治大が戻ってきた」と絶賛。集中力に加え、持ち前のキャラクターで雰囲気をガラリと変えた。「チームが盛り上がればいいなと。途中、抜けたんでやらないと」。責任感と存在感で、チームをけん引する。

 本拠地での楽天戦は4試合連続のサヨナラ勝ち。チームも4連勝を飾って、3位ソフトバンクに1ゲーム差に迫った。残りは10試合で、直接対決も残り3試合。逆転でのCS進出をはっきりと視界にとらえた。渡辺監督は「みんな第4コーナーを回って、最後の直線に入っている感じ。うちは落とせないゲームばかり」と引き締めた。片岡も「追いかける強みを持ってやる」と頼もしい。今日26日の胴上げも阻止し、一気にCS圏内に入る。【久保賢吾】