巨人原辰徳監督(55)が15日、短期決戦に臨む心境を「ウズウズ」と表現した。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージは今日16日、東京ドームで開幕する。勢いのある広島に対し、先手必勝を期して戦いに臨む。昨季は、中日相手に3連敗スタートと苦しめられたが、それも糧にした巨人が、日本一連覇への挑戦権を奪いにいく。

 巨人の準備は整った。原監督は決然とした表情で言い切った。「早くゲームがしたい。そういうウズウズ感が出ている。何人か、コンディションを落としていた選手もいたけど、この期間で100%の状態になった」。ペナントレースの最終戦から1週間。宮崎での短期合宿を経て、坂本、ロペスらが調子を上げた。確かな手ごたえが、楽しみな気分にさせていた。

 このウズウズ感は、ただ単に早く野球がやりたいというだけの感情ではないという。「不安があるから楽しめるんだと思う。いいことばかりだと楽しくない」と言って、例えに出したのは普段はやらないパチンコだった。「ボクはやらないけど、パチンコだって、出るか出ないか分からないドキドキ感があるから、楽しいんでしょ?」。マイナスの出来事も受け止める度量を口にした。

 それは、昨年の経験があるからだろう。中日相手に3連敗を喫し、土俵際まで追い詰められた。「徳俵に足がかかった人間を寄り切るのは、そんな簡単なことじゃないはずだ」とナインを勇気づけて3連勝返しにつなげた。今年は「先手必勝というのはもちろんです。しかし、何があっても動ずることなく、日本シリーズへの切符を勝ち取りたい」と、やられてなくても倍返しの気持ちで初戦からいく。

 頼みの綱は初戦の先発が予想されるエース内海だ。「先陣を切るという意味で、いい先鋒(せんぽう)であってほしいね。1つの勝利がペナントレースと違って大きい。勝つと言うことに、さらに強く、貪欲に戦いたい」と、思いを託した。この日の練習前、ナインを集めて放った言葉は「さあ行こう」のひと言だった。もはや、あらためて言うことはない。ナインを見回した原監督は、そう感じ取ったのだろう。充実したチーム状況をうかがわせた。【竹内智信】