V字回復も台無しで…。阪神和田豊監督(51)が16日、大阪市内の阪神電鉄本社を訪れ、坂井信也オーナー(65=電鉄本社会長)にシーズン終了の報告を行った。昨季の5位から2位へ浮上したが、9月以降に低迷。CSファーストステージも広島に連敗して終わっただけに、球団首脳からは「Bクラスという気持ち」の声が飛んだ。

 2位だ。Aクラスは3年ぶりだ。7月には2度も首位に立った。昨季は5位だった。数字だけを見れば、胸を張っていい。でも、そんなムードは一切なかった。総帥に報告を終えたあとの壇上。南球団社長の第一声は「2位というよりBクラスという気持ち」だった。巨人との頂上決戦で、東京ドームにいたはずだった日。和田監督は、阪神電車の本丸で頭を下げていた。

 和田監督

 私のほうから、まずは終盤に失速したことに対しての謝罪というか、本当に申し訳ありませんでしたと…。

 就任2年目は73勝67敗4分けだった。借金20だった1年前とは比べものにならない。でも、貯金は最大17あった。8月末の巨人戦で3連敗すると、9月は6勝16敗2分けと急ブレーキ。勢いの差そのままに、CSファーストステージも甲子園で3位広島に連敗した。後味悪いフィニッシュで、どんよりムードになった。

 和田監督

 練習量や、もう1度しっかりトレーニングを含めて考えていく。今年だけでなく、ここ数年、この傾向が見られるので。そこらへんをクリアしないといけないと痛感した。

 失速ぶりは毎年恒例になった。指揮官は心と体のスタミナ強化へ、「猛練習」を掲げる。2月の沖縄・宜野座キャンプは室内練習場併設の宿舎へ変更。練習量が増えたが「まだまだ足りない」と口もとを引き締めた。ハイペースに1年間走りきる体力をつける。

 話題の中心は「投高打低」だった。防御率が12球団トップに対し、本塁打82本はリーグ最少、得点数もリーグ5位だった。「中途半端に何を待ってんねん、と常にどっちつかずの保険をかけた打撃が目についた。例えば3桁ならあと20本。もっとできるという思いはある」。猛虎打線復活へ、ミスタータイガース掛布雅之氏の力も借りる。

 和田監督

 結果的には順位は上がっているけど、非常に悔しい2位ということに終始します。満足しているスタッフ、選手は誰1人いない。来年は、終わってみれば一番上にいられるように。

 笑顔なき会見だった。契約ラストイヤーの来季に、野球人生の全てをかける。1位じゃなければ、みな同じ。1位じゃなければ、意味がない。上から2番目の満足感なんてなかった。トップに立てなかった悔しさを忘れず、1年後こそ歓喜と祝福に包まれる。【近間康隆】