<セCSファイナルステージ:巨人3-0広島>◇第2戦◇17日◇東京ドーム

 まだ終わらない。ただでは終わらない。広島打線が執念を見せたのは9回だ。1死から丸佳浩外野手(24)が、菅野から初の「クリーンヒット」となる左前打で出塁した。CSラッキーボーイの菊池涼介内野手(23)は詰まりながら投手強襲の内野安打で続き、一、二塁の好機。このとき初めて菅野が動揺する。キラの威圧感が制球を乱れさせ、四球を選んだ。ついに満塁とする。お膳立ては完璧だった。

 1発で逆転だ。エルドレッドは初球を狙っていった。だが145キロのツーシームに詰まらされ一邪飛に倒れる。続く梵の打球は、一瞬とらえたように見えたが、歓声はすぐにため息に変わる。中堅手長野ががっちり捕球。巨人に王手をかけられた瞬間だった。

 終わってみれば、相手も得点は本塁打1本の3点だけ。野村謙二郎監督(47)は敗戦の中にも可能性を感じていた。

 「水をあけられたスコアではなかった。今日も最後にチャンスをつくった。相手の嫌な形に回せたからね。ここで1発出たらって思ったでしょ?

 それが明日はつながるように」

 シーズン中の天敵が、大きく立ちはだかった。巨人の新人菅野には、7度の対戦で4つの白星を献上。その相手の秘策にやられた。緒方打撃コーチは「ここまでフォークを使っていなかった。オープン戦では使っていたんだけど」と説明する。なじみの少ない変化球に翻弄(ほんろう)され、8回まで代打天谷の内野安打1本に抑えられてしまった。

 それでも粘り強く、逆襲のタイミングを探り続ける。それが、16年ぶりAクラス入りを果たした今年のチームカラー。9回の攻撃が象徴的だった。確かに、快進撃を支えてきたキラとエルドレッドの2人が、ファイナルステージは計13打数1安打とブレーキなのは気がかりだ。だが、ひと振りですべてを帳消しにする力を秘めている。野村監督はバスに乗り込む前に言った。「何とか一矢報いたい」。まだまだ、白旗を上げるわけにはいかない。【鎌田真一郎】