<コナミ日本シリーズ2013:楽天3-0巨人>◇第7戦◇3日◇Kスタ宮城

 巨人の日本一連覇は消えた。日本シリーズ第7戦は、楽天投手陣を打ち崩せず、1点も取れずに敗れた。原辰徳監督(55)はV9監督で、10月28日に亡くなった川上哲治氏(享年93)の遺志を継ぎ、勝利を目指したが、わずかに届かなかった。来季以降に、大きな宿題が残った。

 届かなかった。それでも原監督は潔かった。「向こうの先発を打ちあぐねて、なかなか主導権を握れなかった。うちの先発と向こうとの差」と敗因を分析すると、日本一に輝いた楽天に向けて「心よりおめでとうございます」と賛辞を贈った。あと1勝というところで、目標は断たれたが、最後まで堂々としていた。

 コンディショニングの難しさを教えられた日本シリーズだった。ペナントレース終了からの1週間で、不振の打線を立て直しCSを快勝した。しかし、CSからの1週間で打線の状態はどん底に落ちた。相手との戦いの前に、自分たちの力を発揮できないもどかしさ。「粘りの中、選手たちは全力で戦ってくれた。でも、このチームはやっぱり途上のチーム。さらに上を目指していく」。やりくりにも限界があった。V9の偉大さをあらためて知った。

 決戦のまっただ中、訃報を聞いた。第5戦の朝、東京・世田谷の閑静な住宅街に、川上哲治氏の家を訪ねた。大きな遺影を椅子に座って見上げた。線香に火をつけて静かに手を合わせた。その時、2本の焼酎を川上氏の長男貴光(よしてる)氏から渡された。

 ラベルには川上氏の毛筆による文字が使われていた。1つには「ふ動心」。もう1つには「無敗」と書かれていた。どちらもV9を成し遂げた川上氏の気構えだった。「景気づけに持っていってもらおうと思いました」と貴光氏。ありがたく受け取った。ただの焼酎には思えなかった。

 川上氏の遺志を継ぎ、もう1度、奮い立って仙台に来た。負ければ終わりという試合で、今季無敗の田中を蹴散らした。しかし、日本一連覇を阻む壁は厚かった。「去年より強い」と評したチームで挑んでも、はね返された。球団に来季からの2年契約を打診されている。ふりだしに戻って、また戦う。【竹内智信】