西武が14日、「伊原野球」の神髄を凝縮させたスタートを切った。伊原春樹監督(64)の初実戦となるソフトバンクとの練習試合で、1番斉藤、7番金子の2盗塁を含む計5盗塁。成功率100%、3球以内の早仕掛けで、就任前に掲げた「スキをつく野球」をソフトバンクに印象付けた。伊原監督は「野手はスキをついた走塁をやってくれた。足の速い選手が塁に出れば、こういう攻撃ができる」と評価した。

 象徴的なシーンは、1回の先制劇。斉藤が右前打で出塁し、二盗で得点圏へ。1死から大崎の中飛の間に、間一髪のタイミングで三塁を陥れた。4番坂田がコンパクトなスイングで先制の左前適時打。単打2本と足で得点を刻んだ。伊原監督は「ああいう形でコツコツとつないでいけば点は取れる」と納得の攻撃だった。

 “伊原マジック”も繰り出した。9回、両打ちの金子が左腕嘉弥真に対し、左打席に立った。遊撃へのゴロだったが、俊足で内野安打。両打ちなら高橋慶彦、松井稼頭央ら体が頑丈なタイプが大成するという理論からの指示だった。「足が速いし、(バットに)当てれば内野安打も増える。足を生かした、いやらしい左バッターになれば、将来的に3割打てる」と期待を込めた。【久保賢吾】