新天地を探すガッツが心境を明かした。巨人からフリーエージェント(FA)権を行使した小笠原道大内野手(40)が17日、地元の千葉・市川市で行われた「小笠原道大杯争奪少年野球大会」の開会式に出席した。置かれた立場を「無所属です」と表現。現時点で他球団から連絡もないとしたが、あいさつの中で、第7回を数えた愛着ある冠大会の継続を明言した。少年たちとの約束を1年後に果たすべく、不動心で待つ。

 素直に、と決めていた。少年たちのかわいい入場行進を見届けた小笠原が、ゆっくり中央に歩み出た。

 小笠原

 現在、無所属の小笠原です。ケガしないように、試合のための準備をしっかりすること。最後までやり遂げること。この2つを守ってほしいと思います。来年もこの大会を開くことを約束して、あいさつとさせていただきます。

 丁寧に頭を下げた。「無所属って言おうか、ギリギリまで迷った。でも実際、無所属だから。シーン、ってなったらどうしようと思ったけど、スタンドのお母さん方が拍手してくれて助かったよ」。今の立ち位置を飾らず伝えた小笠原。地元は温かかった。

 国内外で移籍可能な海外FA権を行使した。「体を休める時期は、11月のこの時期しかない」と、交渉の連絡を静かに待つ日が続く。一方で、どっしりと構えて連絡を待てるかと言えば、そうでもない。「携帯電話を開いて、着信を確認して。その繰り返し。でもまだ、着信はないよ」と言って「自分からできることはない。だから連絡がない以上、何も言えないんだよな」と続けた。

 巨人に移籍した07年のオフから始めた、地元での冠大会。「千葉から離れたのは、北海道にいた3年間だけ」のガッツにとっては、格別の思い入れがある。毎年欠かさず足を運び、本戦出場32チームの大会にまで育んできた。原点で行った7回目のあいさつは、今までと少し違った。少年少女に向けたメッセージは、今の自分自身に向けた言葉でもあった。

 小笠原

 準備と、やり遂げること。野球に限らず、毎日の中でも大切だと思ってる。今、大きなことは言えないけど。来年どうなってるか分からないんだけど…。この大会は続けたい。その積み重ねで、ずっと続けていけたらいい。何事も、コツコツとだな。

 始球式の申し出を快諾した。少年たちを呼んで、キャッチボールして肩をつくり、ストライクを投げ込んだ。「今はカップだけか。優勝旗、準優勝旗もあったらいいな」。来年どこでプレーしているか、小笠原は知らない。コツコツ準備して、やり遂げることだけは決めている。【宮下敬至】

 ◆今季の小笠原

 過去2年の不振もあり、キャンプはプロ17年目で初めての2軍スタートとなった。打撃改造を図ったが、2月17日の打撃練習中に折れたバットで左手人さし指を裂傷。負傷の影響で調整が遅れ、開幕は2軍で迎えた。それでも5月中旬に1軍に昇格。6月5日の日本ハム戦で代打サヨナラ3ランを放ち、お立ち台で「思い出しました!」と絶叫し、ファンの感動を呼んだ。だが同下旬の広島戦で先発機会も無安打に終わると、2軍に降格。再昇格することなくシーズンを終えた。11月10日には出場機会を求め、FA権行使を表明した。