60本塁打でシーズン最多本塁打のプロ野球新記録を樹立したヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)が、故郷で熱烈な歓迎を受けた。17日(日本時間18日)、故郷のオランダ領キュラソー島に、同郷の楽天アンドリュー・ジョーンズ外野手(36)とともに凱旋(がいせん)。空港からの祝賀パレードではスポーツカーに乗り込み、記録達成を記念して命名された「ココ・バレンティン通り」で声援に手を振った。途中、島民の乗った大型バイク「ハーレーダビッドソン」300台以上に先導されるシーンも。島中がお祭り騒ぎとなった。

 午後2時、バレンティンがキュラソー島のハト空港に降り立った。いつもとは違う故郷の光景が広がる。ジョーンズとともにロビーに進むと、数百人のファンに出迎えられた。お立ち台であいさつ。約2時間後に始まった祝賀パレードでは、Tシャツ姿で王冠をかぶり、真っ赤なスポーツカーに乗り込んだ。

 シリロ・シリノ球場までの43・5キロ、沿道に人があふれ返る。人口約14万人の島民以外にも訪れたファンがいた模様で、主催者も人波を制御できない。主役と同乗する権利が当選した女性は、乗り込むことさえできなかった。記録達成を記念して命名された「ココ・バレンティン通り」も熱狂の渦だった。

 バレンティンは日本人を見つけると「ありがとう、ジャパン」と日本語で声をかけた。「故郷に帰ってきて改めてやったことの大きさを実感した。最高だ」と喜びを口にする。パレードが始まって3時間後、歓迎はヒートアップ。バレンティンの車の前に、300台以上のハーレーダビッドソンが続々と進入。英雄を祝福する行為に出たが、道は大渋滞となった。

 同郷でロッテ、ヤクルトでも活躍したヘンスリー・ミューレン(現ジャイアンツ打撃コーチ)も島民とともに興奮を隠せなかった。「日本と、この島は縁が深い。AJ(ジョーンズ)が日本一になり、ココ(バレンティン)が私の尊敬する王さんの記録を抜いた。素晴らしいことだが、ファンがいつも温かかったことが活躍できた大きな要因だ」と感慨深そうに話した。

 歓迎ムードは沿道だけでない。球場や地元ホテルでは新記録達成の56号本塁打のシーンが繰り返し放送された。バレンティンが球場に到着するとバンド演奏に迎えられ、花火も打ち上げられた。日本で60発の大きな花火を打ち上げた男に贈られた最高のプレゼント。キュラソー島はいつまでも「ココ・フィーバー」に酔いしれていた。

 ◆ウラディミール・バレンティン

 1984年7月2日、オランダ領キュラソー島ウィレムスタット市生まれ。セント・ポール・コーリション高から00年ドラフト外でマリナーズ入団。07年にメジャー昇格。09年7月にトレードでレッズ移籍。メジャー通算は170試合に出場し113安打(打率2割2分1厘)、15本塁打、52打点。11年ヤクルトに入団し、1年目から3年連続本塁打王に輝いた。185センチ、100キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸7600万円。

 ◆キュラソー島

 カリブ海に位置するオランダ王国の島。面積は448平方キロ(種子島とほぼ同じ)、人口は約17万人。貿易風が一年中吹き、気温は25度以上と温暖。1年のうち乾期と雨期に分かれる。主要都市はウィレムスタットで、町並みはユネスコの世界遺産にも登録されている。産業は石油精製など。ラム酒をベースにオレンジの果皮を使ったリキュール「キュラソー」の特産地として有名。野球が盛んで、89年にミューレン氏(元ヤクルト)がヤンキースで同島出身のメジャー第1号になった。楽天ジョーンズ、有望株のプロファー(レンジャーズ)らを輩出する。