ロッテ伊東勤監督(51)が20日、来季の開幕投手候補に、西武からFA宣言した涌井秀章投手(27)の名を挙げた。球団は前日19日に涌井と初交渉。相思相愛の間柄で、入団は決定的な状況だ。報道陣からの「獲得に成功した場合」という仮定の質問に答えたもの。古巣西武で出会った愛弟子との再会が待ち遠しいことは間違いない。

 まだ入団が決まったわけではない。それでも、報道陣の質問は、涌井入団後の投手陣についてにシフトするものだった。涌井は開幕投手の候補か否かを問われた伊東監督は、仮定の話と前置きしたうえで「このまま行けば、当然そうだろう」と明言した。

 ただし、左手で投げるしぐさをしながら「これも、もっと頑張らないとな。刺激し合うと、いいよな」と続けた。「これ」とは、4年連続で開幕投手を務めている成瀬を指す。エース成瀬と涌井を競争させることで、投手陣全体をレベルアップさせたい考えだ。

 まさに「策士」の本領発揮といったところ。成瀬は、名門・横浜高で涌井の1年先輩にあたる。高校時代からエースと呼ばれた2人のプライドを闘わせることで、互いの能力をさらに引き出すのが狙い。「涌井開幕」の構想をぶち上げるのも、今季は左肩痛などで6勝4敗と不本意な成績に終わった成瀬の闘志に火を付けたいからだ。

 監督の構想を伝え聞いた成瀬は「譲る気はありませんから!」とキッパリ。「一緒にプレーできるのなら楽しみですよ」と、歓迎の意を示しつつ「向こうはドラフト1位。こっちは下位(6位)。僕はそんなに長く野球をできるとは思ってませんでしたけどね。後から来た人間には負けられない」と、譲る気などまるでない。

 成瀬のリアクションに、伊東監督は「バチバチと、もう始まっているやん。それがいいのよ!」。ヒートアップ必至のバトルを早くも楽しみにしていた。【金子航】