21日、ロッテ鴨川キャンプのブルペンに、ひときわ元気な声が響いた。「さあ来い、集中して!」「置きにいっとるぞ今のは!」。伊東勤監督(51)がマスクもつけずにしゃがみ込み、大谷の直球を受け続けていた。その数160球。最後は汗びっしょりになり、「俺もまだまだいけるな」と捕手・伊東勤復活に満足げな笑みを浮かべた。

 西武黄金時代の名捕手だ。直接選手の球を受けるのは、西武監督ラストイヤーの岸以来6年ぶり。「いつか受けなきゃと思ってたんだ。キャンプはいかに投手を乗せて投げさせるか。若いヤツらにその技術を見せたくてね」。直々に捕手陣の手本となり、活を入れた。大谷は「球数以上の充実感と疲労感。ミットが呼んでいる感じ。(球筋の)ラインを見せてくれた」と一流の技に魅せられた。

 球を受ければ受けるほど、昔の感覚がよみがえった。「こんなに受けたのは涌井が最後やな。ズドーンと来てたのを思い出すよ」。西武からFA宣言した涌井とは、19日の初交渉後に電話で連絡を取った。「どうだった?

 と聞いたけど、感じとしては良かったみたい」。西武時代の愛弟子とは相思相愛で、入団は決定的。来週中にも2度目の交渉が行われる見込みだ。

 この日のブルペンは試運転に過ぎない。今回は吉鶴育成コーチのミットを借りたが、来春の石垣キャンプには「マイミット、持ってくわ。それくらい意気込んでいくよ」とガチンコ宣言。次に受けるのは、05年の入団1年目以来9年ぶりとなる、涌井の剛速球かもしれない。【鎌田良美】