ありがとう、マー君-。楽天田中将大投手(25)が24日、仙台市内で行われた優勝パレードに参加し、初のリーグ優勝、日本一の喜びに浸った。予想を超える約21万4000人のファンが沿道に集まり、公式戦無敗でチームを支えた殊勲者を祝福。田中にとっても初体験のイベントは、「一生の思い出」として記憶に深く刻まれた。また宮城県から県民栄誉賞、仙台市から賛辞の盾、兵庫・伊丹市からは市民栄誉賞を正式に受賞。ファンに感謝し、感謝された1日に感激した。

 「マーく~ん!」。沿道を埋め尽くしたファンの声援に、田中は感謝の気持ちでいっぱいだった。セレモニーではテープカットに臨み、パレード中はそのテープを握りしめ、ファンに笑顔を届けた。手を振りながら約1・5キロを移動し、およそ30分間、幸せな時間を過ごした。想像を超えた至福のひとときを、「なかなか経験できることじゃない。ずっと自分の思い出に残っていくんだろうなと思いました」と感慨深そうに振り返った。

 開始約3時間前までは小雨が降り、天候が心配されたが、スタート時間の午前11時には快晴に変わった。幸せを共有するのに、絶好のパレード日和となった。このパレードのために、夜明け前からスタンバイしていたファンもいた。田中は「今日の通りを全面閉鎖するのは初めてということを聞いて、すごいなと」。次々に起こる初体験の出来事に目を丸くするばかりだった。

 それぞれの選手に向けられたファンの声の中でも、田中への声援はひときわ大きいものだった。「ありがたいですね。すごい歓声をいただいて、優勝した喜びをみんなで分かち合うことができて良かった」と素直な気持ちを口にした。多くの笑顔に触れ、自身も笑みが絶えなかった。

 ありがたみを感じると同時に、感謝もされた。この日、パレード前に村井県知事から「宮城県民に大きな夢と希望を与えてくれました。心より感謝します」と、県民栄誉賞を授与された。「チームのみんなで戦ってきた結果だと思っています」と田中は謙虚に話した。パレード後には仙台市から賛辞の盾を、出身地の兵庫・伊丹市からは市民栄誉賞を次々と贈られた。数々の功績を残した今シーズン。東北だけでなく、遠い関西から「ありがとう」という意を込められた。

 東日本大震災から2年8カ月以上がたった。復興にはまだ時間がかかるが、消えかけた笑顔が戻り、歓喜と幸せに満ちた1日になった。田中は「すごくいいものでした。またやりたいですね」としみじみ言った。マー君を中心に、選手と21万4000人の観衆が、1つになった。【斎藤庸裕】