巨人の背番号「55」が、来季は空き番となることが24日、分かった。現役を引退した松井秀喜氏(39)が背負い続けた代名詞の番号で、大田泰示外野手(23)が引き継いでいた。右打ちの強打者である大田に対する期待は変わらないが、入団5年で通算2本塁打とまだまだ成長の途上。奮起を促す思いを込めて、若い番号を与えることになりそうだ。

 巨人の「55」が、再び空き番となる。球団はこの日までに、来季の背番号が変更となる選手に対しての通達を済ませた。その中に、「55」を背負ってきた大田も含まれていた。チーム選手内での背番号変更ではなく、そのまま空位となる見込みだ。

 スケールの大きい長距離打者である大田に対して、球団の期待は変わっていない。昨季はプロ入り初本塁打を含む2本塁打を放ち、開花の兆しを見せた。今季は開幕1軍メンバーに入った。しかし、5月に下半身の故障で離脱するとその後は1軍に定着できず、5年目のシーズンを終えた。球団は心機一転で奮起を促す意味を込めて、大田に変更を打診した。現在、チーム内の空き番には「44」に加え、引退した古城が背負った「51」などがある。若い番号を与え、背中にかかる重圧を軽くする狙いもあるとみられる。

 「55」は、巨人軍にとって特別な重みがある。国民栄誉賞を受賞した松井氏と長嶋茂雄氏に対し、背番号にちなんだ5月5日に、東京ドームで表彰式が行われた。松井氏はあいさつの中で「王さんのように、1シーズンで55本打てるようなバッターを目指せと、背番号『55』をいただきました。将来は立派にジャイアンツの4番を務めないといけないと思い、日々、努力をしてきたつもりです。ジャイアンツの4番を任せていただけるようになり、誇りと責任をもって毎日プレーしました」と、その重みを明かした。

 偉大な先輩の思いを受け継ごうと、大田自身も鍛錬を重ねてきた。入団から5年という区切りで、残した成績を客観的に判断した結果が今回のタイミングだった。「55番にふさわしい選手にならなくてはいけない。努力して、55番を自分の番号にしなくてはいけない。それが恩返しになる」が口癖だった。ただ大田は、変更に対しても非常に前向きだという。

 球団は、松井氏に指導者としての経験を積んでもらい、将来はチームを率いてもらいたい思いがある。最初のステップとして、来年2月の春季キャンプでは臨時コーチを務めることが内定している。「55」の本家と対面し、指導を仰ぎ、意思を形にする。