記録にも記憶にも残る。オレが22番だ!

 阪神の新守護神、呉昇桓(オ・スンファン)投手(31=韓国サムスン)が10日、来日した。藤川の代名詞だった22番を背負う新ストッパーは、自分色に染める決意を示した。すでに藤川らが持つ46セーブの日本記録更新を中村GMに約束した頼もしき右腕。今日11日には和田監督ら首脳陣と会食し、13日に大阪市内ホテルで入団会見を行う。

 関西国際空港の国際線到着口は異様なムードに包まれていた。カメラが並び、球団関係者らも待ち受けていた。韓国球界のスーパースターが現れると、一斉にフラッシュがたかれた。黒のパンツ、黒地の迷彩柄ジャケットでシックに決めた呉昇桓は動じることなく、ゆっくりと歩を進めた。ただならぬオーラに、一般客も振り返っていた。

 「日本に来て楽しみです。実感はあります。早く甲子園に行って、見学して、監督、コーチ、選手と話をしてみたいです」

 施設見学や入団会見を行うための来日。韓国ソウルで調印式は行ったものの、いよいよ新天地での第1歩という感慨があったのだろう。“石仏”の異名を取る右腕も表情を緩めた。

 韓国最多の通算277セーブの実績。期待の大きさは、背番号「22」に表れている。藤川が12年オフにメジャー移籍し、1年間、凍結していた番号だ。心境を問われた呉昇桓は、表情を引き締めて言った。

 「日本では抑えとして最高峰の番号。ファンの方は藤川投手のイメージが強いと思いますが、これから結果を残していけば、新しいイメージが出てくるのではないでしょうか」

 ドラフト1位で入団し、生え抜き守護神として通算220セーブを挙げた。リンドバーグの登場曲が流れ、藤川が最終回のマウンドに向かう。それは、虎党が勝利を確信する瞬間だった。両者の熱い絆に配慮しつつも、韓国で“キング・オブ・エンディング”とも呼ばれる男は結果を出すことで自らのイメージを定着させることに自信を見せた。

 「重圧はあるんですが、これから頑張っていけば、なくなるのではないでしょうか。少しでもチームの助けになれるように頑張りたい。目標は優勝なので、優勝できるように頑張りたいです」

 幾多の修羅場を経験してきた右腕はどこまでも落ち着いていた。無表情の奥に新たな守護神伝説を作る決意がうかがえた。【鈴木忠平】

 ◆今後の呉昇桓

 空港を出た後は球団関係者と住居などを見て回った模様。他の外国人選手とは異なり、韓国人街のある大阪市内に決める予定。今日11日は大阪市内で和田監督ら首脳陣と会食。12日は甲子園など施設見学の予定が入っている。13日に大阪市内ホテルで入団会見を行った後、韓国に帰国し、年末からはグアムで自主トレを行う。