楽天田中将大投手(25)が17日、来季からのメジャー挑戦の希望を表明した。仙台市内の球団事務所で立花陽三球団社長(42)と面談。この日、日本野球機構(NPB)と米大リーグ機構(MLB)との間で移籍に関する新しいポスティングシステムが発効し、申請の受け付けが始まった。田中は新制度による移籍を求めた。残留を望む同社長は即答を避けたが、球団として最終的にはメジャー挑戦を認める可能性が高い。今季24勝無敗の絶対エースが、次のステージへと前進した。

 会見室に入るや無数のフラッシュを浴び、田中は「熱っ」とつぶやいた。テレビカメラ10台を含め、集まった報道陣は約50人。ぎゅうぎゅう詰めの熱気を前に、正面を見詰め、自ら口を開いた。

 田中

 本日、球団の方に、来シーズンをメジャーで挑戦させてほしいという希望をお伝えしたことを、ご報告します。また、立花社長には、お忙しい中、時間を割いて面談の場を持っていただいたことに感謝しています。

 立花社長からは「容認」とも「却下」とも即答はもらえなかった。だが、「親身になって聞いてもらいました。コミュニケーションを、これまで通りしっかり取っていければ」と前向きに話した。話し合いの冒頭、残留を求められたが「それ(残留要請)も踏まえて、僕の気持ちを伝えさせていただきました」。ポスティング申請は球団の権利だけに「残留の可能性もあるのでは?」という質問も出たが、「僕から、それ(残留)を言うことはないと思います」。きっぱりとした口調に、海を渡る決意をにじませていた。

 球団は、三木谷オーナーが「若い人が挑戦するのは良いことだと思う」と話すなど、メジャー挑戦を後押しするというのが前提だった。新システムへの反対から、ポスティング申請しない可能性が強まったが、関係者の話を総合すると、最終的には容認するとみられる。立花社長は「すぐには私1人で決断することはできない。預からせてほしいという話をした」と説明。現時点で球団の回答は未定を強調したが、「しっかり全員と話しあって、できるだけ早く結論を出さないといけない」と付け加えた。1週間もすれば、米国はクリスマス休暇が始まる。移籍にせよ、残留にせよ、来季編成に与える影響を考慮。今後の日程は未定だが、三木谷オーナーを含む球団幹部で議論し、早期に結論を出す。

 節目の会見を終えても、田中は落ち着いていた。ようやく自らの言葉で心中を明かす日を迎えたが「(新制度成立は)僕にコントロールできるものではないので、すべて決まってからと思っていた」と冷静に振り返った。気持ちを貫き、球団に思いを伝えた。即座にメジャー挑戦への手形は得られなかったが、大きな1歩をしるした。【古川真弥】