阪神の新ストッパー呉昇桓(オ・スンファン)投手(31=韓国サムスン)が2月中の実戦登板を志願していたことが22日、判明した。大阪市内で会食した時の模様を中西投手コーチが明かしたもの。打撃投手、シート打撃登板なども積極的に行う実戦派だという。5日間あれば、4日はブルペン入り。連投や、イニングまたぎも辞さずの鉄腕。早すぎるほどの調整ペースに中西コーチもうれしい悲鳴を上げていた。

 新守護神の意気込みが伝わってくるようだった。この日、大阪市内のショッピングセンターでトークショーを行った中西投手コーチが、すでに呉昇桓と調整方法について詳しく話し合ったことを明らかにした。今月11日に行われた首脳陣と呉昇桓の会食の席で、調整法が話題にあがった。

 「本人の意向も聞いたが、2月のキャンプから戻るまでには(実戦で)投げたいということだった。打撃投手、シートも好きだと言っていたんで」

 日本球界では通常、主力投手が実戦登板するのは3月に入ってからという例が多い。だが、韓国球界のセーブ記録を持つ男は驚くほどのハイペース調整を志願し、2月中の実戦登板を直訴していた。

 「5日間あったら4日間はブルペンに入ると言っていたから、それはちょっと入り過ぎちゃうかと…。沖縄の方にも早く入りたいと言っていたしね」

 中西投手コーチが会談の中で実感したのは投げて、投げて、状態を上げていくタイプということ。キャンプ地に早めに入り、ほぼ毎日ブルペンに入るつもりという。シーズンに入っても、ブルペンでは10数球で肩をつくることができ、連投も辞さない“実戦派”だ。

 「(イニングまたぎは)本人は韓国ではやっていたと言っていたけど、日本では当然、1イニング限定。連投も制限することはあるだろうな」

 熱いほど伝わってくる新守護神のやる気。中西投手コーチもブレーキをかける必要を感じるほどだ。

 「韓国の方が早め、早めに仕上げるからな。(開幕までの)青写真は描いているけど、実際にやってみて状態を見てからだな。だからまだ、どこで投げさせるとかは言えない」

 呉昇桓がデビューするかは微妙だが、阪神は来年2月22日に広島と、同23日に中日とのオープン戦が組まれている。新4番候補ゴメスは夫人の出産のために合流が遅れるが、新守護神の方はむしろ、ブレーキが必要なほど。調整遅れの心配など、まったく無用のようだ。【鈴木忠平】