ファンの皆さん、そしておばあちゃん、見ていてください!

 3年目を迎える阪神歳内宏明投手(20)が9日、鳴尾浜で若手の合同自主トレに参加した。昨年末に実施した日刊スポーツの阪神ファンアンケートで最もローテ入りを期待する投手に選ばれた右腕。結果を伝える12月29日付本紙を、兵庫・尼崎市内の実家に帰省した際、祖母から見せられた。期待を発奮材料に先発ローテーション入りを誓った。

 年末、兵庫・尼崎の実家に帰省した時だった。3年目のプロ初勝利へ燃える歳内が祖母初子さん(77)にあいさつすると、新聞紙を手に「載ってるよ!」。本紙を愛読する初子さんはうれしさをこらえきれず、孫の名前が躍るアンケート結果を見せたという。

 「結果見ましたよ!

 おばあちゃんが見つけて取っていてくれたみたいです」

 昨年12月、日刊スポーツが行ったファンアンケートで歳内は、先発ローテーション入りを期待する投手の1位に輝いた。実家と同じ尼崎市内に住む初子さんは、孫が記事になっていないか探すことが日課。祖母の報告により、アンケート結果は歳内家で年末の大きな話題となった。周囲の思い、ファンの期待を、歳内はあらためて実感した。

 「先発の枠が空いているのでもちろん狙っていかないといけない。でも、その前にひとつずつですね」

 2年目の昨季は1軍で5試合登板に終わった。本格化を誓う今季、現時点でローテーション入りが確定しているのは能見、メッセンジャー、藤浪の3人だ。榎田、岩田と実績組が控え、残りは狭き門でもこじ開けるしかない。昨年11月下旬から約1カ月参加した台湾ウインターリーグでは4試合で3勝1敗と結果を残し、縦の変化球にも手応えをつかんだ。

 「真っすぐの球速を上げたい。真っすぐが良くなると、コントロールが磨けていくんです」

 鳴尾浜では14年初日からキャッチボールやダッシュ、ウエートトレーニングと夕方近くまで追い込んだ。バロメーターという直球の球速アップを目指し、もう1度体をつくり、勝負のキャンプに飛び込む。

 今季初実戦となる2月11日の練習試合日本ハム戦(宜野座)は、中西投手コーチが先発ローテを狙う投手の第1テストに位置づけた。まずはここに焦点を合わせる。おばあちゃんから知らされたファンの期待を胸に、2014年を歳内の年にする。【松本航】

 ◆歳内宏明(さいうち・ひろあき)1993年(平5)7月19日、兵庫県生まれ。聖光学院では2年夏にエースとして広陵、履正社の強豪を破り8強入りする。3年夏には甲子園で日南学園、金沢との2戦で30奪三振。11年ドラフト2位で阪神入り。12年9月2日広島戦(甲子園)でプロ初登板初先発(勝敗つかず)。プロ通算通算6試合に登板し0勝0敗、防御率4・15。184センチ、84キロ。右投げ右打ち。