日本ハム栗山英樹監督(52)が偉大な先人と電撃合体し、逆襲のパワーを注入した。16日に札幌市内の球団事務所を、元監督で来日中のトレイ・ヒルマン氏(51=ヤンキース育成担当特別補佐)が訪問し、監督就任後は初対面した。日本一1度を含む2度のリーグ優勝を遂げ、本拠地を札幌ドームへ移転後の躍進の礎を築いた1人と懇談。今季へ向けてのヒントを授かり、太鼓判を押された。

 約1時間、質問攻めにした。栗山監督はボランティアの雪かきに出かける前に、札幌ドームへと立ち寄った。「年下だけれどマネジャー(監督)として尊敬している」というヒルマン氏との対面が目的。足元は長靴。グラウンドコートに、防寒用のズボンで完全防備した姿で昼食をともにした。キャスター時代から親交が厚かったが、新旧監督としては初再会。チーム再建へ話は向いていった。

 尊敬する1人の監督へと迫り、教えを受けた。米ドジャースを率いるドン・マッティングリー監督(52)。ヒルマン氏は昨季まで参謀のベンチコーチとして支えた。昨季のド軍は7月の時点で地区最下位ながら、驚異の進撃で逆転、しかも独走で地区V。栗山監督は「ドジャースがどうやって巻き返したのか」と投げ掛けた。その指揮官がどんな人間、性格なのかなど情報収集したという。

 同様のチーム状況から立て直し切れなかった自分と重ね合わせたのだろうか。「いつも前向きだった。その姿勢を崩さなかった」などと聞き感銘を受けたという。就任1年目でリーグV、昨季は最下位に終わった指揮官を、ヒルマン氏は頼もしく見つめた。「彼は言い訳をせず、文句も言わず、前を向いている。マッティングリーと同じだ」。

 栗山監督も共鳴し、信念をさらに固めた。「ヒルマンが北海道で一番最初に監督をやったことに意義がある。目指す方向と一緒だった」。ほとばしる情熱にスイッチが入る、夢の一期一会になった。【高山通史】